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東京医療保健大学女子バスケットボール部・インタビュー③永田萌絵選手、木村亜美選手、岡田英里選手、藤本愛妃選手

2019 10/17 06:00マンティー・チダ
東京医療保健大学バスケ部・選手Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

 

大学女子バスケ界を代表する東京医療保健大学。ここ数年は早稲田大学、白鴎大学と関東で3強を形成し、全日本でも力を見せつけている。
そこでアカツキファイブ女子日本代表アシスタントコーチとしても活躍する恩塚亨監督と、チームを担う選手たちから、チーム・監督・選手の在り方、今後の意気込みなどを伺った。3回に渡ってお届けする。
最終回は、永田萌絵選手、木村亜美選手、岡田英里選手、藤本愛妃選手の4名に春の選手権の振り返りや、恩塚監督から受けた指導について語っていただいた。

>>第1回:東京医療保健大学女子バスケットボール部・インタビュー①恩塚亨監督
>>第2回:東京医療保健大学女子バスケットボール部・インタビュー②恩塚亨監督

日本代表候補にも選ばれた・キャプテン 永田萌絵選手

チームのキャプテンを担う永田萌絵選手。恩塚亨監督の指導を受けながら、自らの引き出しを増やしてアカツキファイブ日本代表候補にも選出されるまで成長を遂げた。

東京医療保健大学バスケ部・永田萌絵選手Ⓒマンティー・チダ

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-恩塚監督の指導を受けてきて、恩塚監督だからこそ変わったかなと思うことは?

永田萌絵選手(以下、永田選手):恩塚監督は、ひとつひとつのプレーにきちんと裏付けがあるというか、‟こうだからこうなる”というのをきちんと説明してくださります。うまくいかない時も、うまくいかない理由から、どうアプローチをするか等、‟こういう考え方ができているからうまくいっているよ”という筋の通った指導をされます。凄くわかりやすいし、自分で考えてバスケットする力が4年間でちょっとずつ身に付いてきたかなと思います。

-指導を受ける中で、恩塚監督から怒られたときに自分の中で処理できていましたか?

永田選手:‟自分はこう思ったから”、という意見を言う時もありますが、そうしたら恩塚監督がそれを聞いてくださいます。疑問に思った時は恩塚監督に話すようにして処理しています。

-そうはいっても、指導の際に怒鳴られるとびっくりしたことも?

永田選手:そうですね(笑)。えらいところに来てしまったと思うことはありました。ただ怒鳴り声は、そんなにびっくりはしなかったのですが、それよりも恩塚監督が言っていることの難しさについていくのが大変でした。

-難しいというのは、論理的にというところですか?

永田選手:きちんと考えてやっている人からすればわかることだと思いますけど、あんまり考えていないバスケットをしてきたので難しかったし、情報量も純粋に多いなと思いました。

-今と違うポジション(ポイントガード)をしている時期もあったと思いますが、その時恩塚監督の指導が参考になった部分はどこでしょうか?

永田選手:一番は「自分からアタックを狙え」と言われたことです。1年生のころも迷いながらポイントガードをしていましたが、だんだんコツが掴めてきて、最近はまず自分のアタックを狙うという考え方でやれるようになりました。今のプレースタイルも2年生からですね。これがベースになって、代表からも声がかかるようになりました。

-最後のリーグ戦、改めて意気込みをお願いします。

永田選手:リーグ戦も最後なので、1試合1試合、力を出し切ってチームを引っ張っていけるように頑張りたいです。

チームの若き司令塔 木村亜美選手

2年生ながら司令塔をこなす木村亜美選手。1・2年生で構成された新人戦では主将として中心的な役割をこなし、チームの4連覇に貢献した。

東京医療保健大学バスケ部・木村亜美選手Ⓒマンティー・チダ

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-春のトーナメントと新人戦の振り返りをお願いします。

木村亜美選手(以下、木村選手):春のトーナメントでは試合にあまり絡むことはできなくて、何が足りないのか考えました。トーナメントでは発揮できなかった‟リーダーシップ”を、新人戦では出すことができました。1・2年生が中心というのもあったのですけど、新人戦でチームをまとめるとかガードとしてチームを引っ張っていくことで、次につながるものを得たのかなと思います。

-チームを引っ張っていく立場というのは大変でしたか?

木村選手:自分が中心に立って引っ張っていかないといけないという責任感において、1年生の時も新人戦では中心で出していただきました。しかしその時点でチームを引っ張っていたつもりでしたが、まだ足りていないというのが改めてわかりました。

-恩塚監督から1年半指導を受けてきたと思いますが、指導の中でよく言われる言葉は?

木村選手:「成功する選手になれ」とよく言われます。常に自分の最高を求めて、試合であれば1ポゼッション1ポゼッション、自分の位置で戦えるような選手になれと。

-映像を使った指導はどうですか?

木村選手:すごくわかりやすいです。自分では想像でシーンを覚えていて「あっそうか」と理解するよりも、その映像があることでより細かく分析し、自分では見つけきれなかった所まで深く掘り下げることもできる。その課題にまた映像があることで発見とかできますね。

-恩塚監督からの指摘でショックを受けたことはありますか?

木村選手:最初の頃は‟また怒られた”と結構思っていたのですが、いちいち怒られたことに対してそう思っていると余計にできない。恩塚さんが言っていることをきちんと考えたら、ただ怒っているだけではなくて、アドバイスを頂けているので「次やってやります」という気持ちにはなります。

-最後に、リーグ戦、インカレに向けて意気込みをお願いします。

木村選手:春のトーナメントで負けてしまいましたが、今回のリーグ戦は全勝でしっかり優勝することが一番。自分は春と新人戦で得たリーダーシップを3・4年生がいる中でもしっかり発揮して、コートの外でも中でもチームに何が必要かというのをしっかり考えてプレーしていきたいと思います。

チームの司令塔でスピードスター 岡田英里選手

1年生からチームの司令塔として活躍した岡田英里。怪我のため、長期に渡り試合に出場できない時期もあったが、恩塚監督の指導を受けここまで来た。第30回ユニバーシアード競技大会では日本代表。

東京医療保健大学バスケ部・岡田英里選手Ⓒマンティー・チダ

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-春の選手権大会の振り返りをお願いします。

岡田英里選手(以下、岡田選手):メンバーがあまり変わっていなかっただけに期待されていましたが、応えられなかった部分もあって全員が悔しい思いをしましたね。

-そんな中、これまで恩塚監督の指導から一番影響を受けた部分はどこでしょうか?

岡田選手:自分はガードなので、バスケットの考え方や理屈に合っているということを恩塚監督から凄く感じていました。攻め方とか行き詰った時とかの対処とか。そういう所が頭に入っていて、‟こういうときはこうする”とか出来るようになったし、わかるようになりました。

-映像を見るとさらに説得力を感じたのではないでしょうか?

岡田選手:自分が試合中に見えていること、ビデオで全体的に見ること、この見え方が違うことに驚きました。同じ箇所でも、コート内でプレーする人から見える部分と、ベンチから見ている人でも違うことがありますよね。

-秋のリーグ戦からインカレに向けて意気込みをお願いします。

岡田選手:最後のリーグなので、優勝してインカレに繋げられるようにしたいので、頑張っていきたいと思います。

インサイドの要 藤本愛妃選手

インサイドの要としてチームを支えてきた藤本愛妃選手。1年生の頃から主力として試合に出場を続ける。入学当初は上級生に遠慮する場面もあったが、恩塚監督からの声掛けで精神的にも強くなっていく。

東京医療保健大学バスケ部・藤本愛妃選手Ⓒマンティー・チダ

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-春の選手権では優勝候補とも呼ばれる中でタイトルを獲得できませんでしたが、振り返ってみていかがでしたか?

藤本愛妃選手(以下、藤本選手):まずチームがうまくできあがっていなかったというのはあるのですが、4年生が不甲斐なかったと思います。

-もう少し具体的にお願いします。

藤本選手:上位のチームと対戦していると何度も苦しい状況になってしまうのですが、4年生がリードして引っ張っていけなかった。自分たちも同じ苦しい状況で流され、勝ちに持って行くということが出来なかったです。特に拓殖大学戦と白鴎大学戦ですね。いつものプレーが出せなかったというのはあるし、苦しい中で4年生が後輩と同じように苦しんでいた。いまいちリーダーシップが取れなかったですね。

-恩塚監督から一番影響を受けたことはどんなことでしょうか?

藤本選手:自分の考えとして、メンバーが揃っていると‟自分がいかなくても良いかな”と思っちゃうときがあるんです。1ゲームで一つでもそういう部分を見せると、恩塚監督から「お前が引っ張れ」と随時強く声をかけてもらって、引き戻してもらうというのはありました。特に1年生の時は、4年生がいるからという考えが少しありました。4年生に甘える環境をわざと作ってくれなかったのかなと思います。試合中に怒られても、そういうことなんだとわかりますね。

-コート内外で、精神的なことを指摘されることが多かったのですか?

藤本選手:恩塚監督は、一人ひとりのことを良くわかってくれています。技術面のことをアドバイスした方が良い選手もいれば、精神面を強くすると技術が付いてくる選手等、色んな選手がいます。自分は気持ちの面を一番強く持てばうまくいくというのをわかってくださっています。

-映像での指導は?

藤本選手:自分のキープレーや同じようなポジションの選手はこのようにやっているよとか、そういうプレーを見せていただけます。自分のプレーを分析してくださったり、こういう所がうまくできていないというデータをまとめて見せてくださったり。

-こういうことの積み重ねが2年前に行われたユニバーシアードの活躍に繋がりました?

藤本選手:あったと思います。

-ユニバーシアードの時に、ミドルレンジからスイスイ決めきるメンタルはどこから来ているのかと思っていましたが、恩塚監督が試合を見ていたそうですね?

藤本選手:ユニバーシアードの決勝を見に来てくださっていて、準決勝までのスタッツとかもチェックされていました。決勝前にメッセージを頂いて、自分の強みであるキャッチ&ショット、リリースが早くて打てるから外国人選手が相手だったらそこ強みだから強く狙っていけと。あの場面はキャッチ&ショットで勝負しようと意識していました。

-それでは最後のリーグ戦、意気込みをお願いします。

藤本選手:目標は全勝優勝です。目標がある前提でトーナメントのように4年生が存在感無くならないように、4年生が引っ張っているチームにしたいです。

取材を終えて

4選手とも、恩塚監督の指導から成長に繋がっている。

永田選手はポイントガードを経験したことにより、プレースタイルを確立させて日本代表候補にも選出。藤本選手は2017年のユニバーシアード大会日本代表で活躍し、50年ぶりの銀メダル獲得に貢献。岡田選手もユニバーシアード大会日本代表に選出され、持ち味を発揮しながら、自分で考えてより良い判断ができるようになり、木村選手はまだ2年生ながら、上級生に交じってもリーダーシップを発揮できるようになってきた。

恩塚監督による指導は、確実に選手たちへ伝わり、映像や日頃からの関係性を踏まえながら指導されているのがわかる。4年生の3名は、最後のリーグ戦、インカレとなるが、2年生の木村選手は吸収できるチャンスがまだ残されている。悔いのない学生生活として欲しい。