前回の箱根走者10人中9人が残る国学院大
今季の学生駅伝を締めくくる第101回箱根駅伝が2025年1月2、3日に行われる。今大会で注目されるのが今季の出雲と全日本を制した国学院大だ。箱根初優勝と史上6校目となる学生駅伝3冠を手にすることはできるだろうか。
「最終章のレースになるので、もう一度ちゃんと歴史を変える挑戦を、一戦必勝の合言葉のもと、しっかりと勝ちにいきたい」。国学院大の主将でエースの平林清澄はそう語る。
出雲では6区間中3区間、全日本でも8区間中2区間で区間賞を獲得。いずれも最終区で勝負が決まって圧勝とは言えないものの、ここ一番の勝負強さを見せるのが、今季の国学院大だ。
勝負強さの源は経験だろう。5位だった前回の箱根を走った10人のうち、卒業したのは1人だけ。9人が今季に残っている。
さらにスピードが上がっていることも大きい。全日本大学駅伝の登録メンバーの1万メートル平均タイムは28分36秒87でトップだった。昨年より20秒以上も速くなっている。1万メートルで27分台のタイムを持つのは平林1人しかない。
一方で全日本のエントリー16人中12人が1万メートルで29分を切ることから分かるように誰が出ても遜色がないというのが今季の国学院大の強みだろう。
最大の注目はやはり、2月に初マラソン日本最高となる2時間6分18秒をマークした平林。学生長距離界を引っ張る存在であり、チームの精神的支柱でもある。駒大とのアンカー勝負を制した出雲の走りはまさにエースと呼べるものだった。
歴史を変えるために山を制することが必要
ただ、過去5校しかいない3冠という頂は決して低いものではない。
箱根では1区間の距離が20キロを超える。選手にはハーフマラソンを走る力が求められるが、2024年の学生ランキングでは国学院大の選手は上位にいない。1万メートルで見たときにはスピードがあり、選手層も厚いといえるが、20キロを超える距離に対応できる選手の層はライバルの青学大の方が上だろう。
そして、箱根がほかの駅伝と決定的に違うのが山の存在だ。5区の山上りと6区の山下りがある。特に標高差800メートル以上を駆け上がる5区はタイム差が出やすい。近年は5区で結果を出さないとなかなか優勝できない。前回優勝の青学大も5区は区間新のタイムで区間2位だった。
前回、国学院大は上原琉翔を配置したが、区間17位に沈み、区間1位より5分近く遅かった。今回も経験者の上原を配置するのかどうか。今季の上原は出雲で区間賞、全日本ではアンカー対決を制するなど目覚ましい活躍をみせている。
一方で沖縄出身の上原の敵は気温にもある。全日本では暑さに強い一面を見せたが、箱根の山の冷え込みは厳しい。
いずれにせよ、前田康弘監督の采配に注目が集まる。エースが集まる2区には平林を配置するだろう。主力級の多くは往路に配置し、先行逃げ切りを図るはずだ。チームの合言葉通り、歴史を変えることができるか。国学院大の最終章が始まる。
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