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青山学院大の箱根駅伝優勝で注目された1年生、過去に活躍したランナーは?

2022 1/6 06:00鰐淵恭市
早稲田大時代の大迫傑Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

太田蒼生と若林宏樹を起用した原晋監督の眼力

青学大の圧勝で幕を閉じた第98回箱根駅伝。2年ぶり6度目の優勝の立役者になったとして注目を浴びているのが2人の1年生だ。1人平均20キロ以上走る箱根でルーキーが活躍するのは難しいと言われている中での快走だったが、。これまでの歴史の中で1年生から活躍した選手たちを振り返る。

今大会で青学大の優勝をたぐり寄せたのは、3区で区間2位の太田蒼生、5区で区間3位の若林宏樹の1年生コンビだ。ルーキーはその実力を測りかねる中、2人を起用した原晋監督の眼力には恐れ入るばかりだ。

さて、1年生の走りが大きく取り上げられた今大会だが、1年生が活躍するのは珍しいことなのだろうか。

まず青学大に絞って見てみる。これまでの5度の優勝で起用された1年生は、以下の表の3人しかなかった。

青学大の過去の優勝時の1年生


過去のデータに基づくと、今大会の青学大で特筆すべきは1年生が2人いたことだろう。過去の優勝で1年生は3人いたが、同じ大会で1年生が2人以上走ったことはなかった。その意味では、今回の優勝は「特別」だったと言える。

優勝校で1年生が活躍することは珍しくはない

青学大の傾向は分かったが、ほかの優勝校はどうなのだろう。今大会を含め、過去15大会の優勝校の1年生の数をまとめてみた。

過去15大会の優勝校の1年生


1年生0人が4校、1人が6校、2人が4校、3人が1校となっている。この数字をみると、1年生2人が優勝に貢献した今大会の青学大は決して珍しいことではないということがわかる。

最多は前回大会の駒大で、白鳥哲汰、鈴木芽吹、花尾恭輔の3人が走った。この3人は今大会も出場したものの、特に鈴木と花尾は1年生の時のような活躍ができなかった。1年次に活躍しても、翌年も活躍できるとは限らない。

なお、85回優勝の東洋大の1年生の1人は「2代目山の神」となる柏原竜二、87回優勝の早大の1年生は卒業後にマラソン日本記録保持者になる大迫傑だった。

1年生の区間賞最多は「つなぎの区間」

過去15大会で区間賞をとった1年生をまとめてみた。14人いることが分かる。

過去15大会の1年生の区間賞


往路と復路でみると、往路10人、復路4人。力のある1年生は往路で活躍してきたことが分かる。復路は1人で走る「単独走」になることや、シード権争いのプレッシャーがかかってくることもあり、1年生は往路での起用が多いのかもしれない。

区間別にみると、4区が4人で最も多い。現在の4区の距離は平地では最短の20.9キロで平地では最短で、考え方はいろいろあるが「つなぎの区間」とも言われる。いろんな意味で1年生を使いやすい区間だ。次に多いのが1区と7区で3人。7区は4区の「裏返し」になるが、距離は21.3キロと4区より少し長い。

1区は終盤まで集団走になることが多く、スパート勝負になりやすい。やはり、1年生が走りやすい区間と言える。

山を上る5区、下る6区は特殊能力が求められるが、1年生で5区区間賞の柏原竜二(東洋大)、6区区間賞の千葉健太(駒大)の2人にはまさにその能力があったのだろう。柏原は4年連続、千葉は3度の区間賞を獲得することになる。

今大会では、5000メートルの前高校記録保持者で、出雲、全日本で区間賞を獲得したルーキーの石田洸介(東洋大)は、10人のメンバーに入ることができなかった。力があっても、箱根を走るのは難しい。来年度は5000メートルの高校記録を持つ佐藤圭汰(京都・洛南高)が駒大に進む。佐藤はその名を歴史に刻むことができるだろうか。

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