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【愛知杯】前走3勝クラス組と中京実績馬を狙え データからはベガリスとクランフォード

2025 3/16 17:00SPAIA編集部
過去9年の京都牝馬Sのデータから見る愛知杯,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

前身は「京都牝馬S」

古馬の牝馬限定重賞・愛知杯(GⅢ・中京芝1400m)が23日(日)に行われる。「愛知杯」と聞けば年初の中京芝2000mを想像する方も多いだろう。

本年のJRA重賞はとかく変更点が多く、そして複雑だ。おそらく国際グレードを保持する関係で事実上の条件変更を「競走名の変更」として処理している番組があり、それも難解さに拍車をかけている。たとえばプロキオンSは「東海Sからの競走名変更」、東海Sは「プロキオンSからの競走名変更」という扱いとなる。

この愛知杯も「愛知杯の条件変更」ではなく、昨年まで2月に行われていた京都牝馬Sの名称を変更し、3月中京に移動した……という位置付けになる。ちなみに「愛知杯」は「小倉牝馬S」に看板がかけ替えられ、1月に小倉芝2000mで行われた。実にややこしい。

本筋に戻ろう。そんな新生・愛知杯だが、過去に類似の条件で行われたレースがほとんどなく、非常にデータ泣かせな重賞だ。今回は変則的に、2016~2024年の「京都牝馬S」と中京芝1400mのコースデータを併用しながら展望していく。

3勝クラス組に警戒せよ

まずは「京都牝馬S」の過去9年分(15年は1600mのため除外)でデータを見る。

愛知杯の人気別成績,ⒸSPAIA


人気別では1番人気が【4-3-0-2】で連対率&複勝率77.8%と高い信頼度を誇るが、2番人気【2-0-1-6】複勝率33.3%以降、3番人気【1-0-2-6】、4番人気【0-1-0-8】と頼りない。

加えて今回の時期変更により、昨年1番人気2着ナムラクレアのように「高松宮記念へのステップ」としてここに出走する馬が事実上いなくなる。2月京都時代より主役不在の混戦が増えるのではないかと予想する。

愛知杯の年齢別成績,ⒸSPAIA


続いて年齢別成績。4歳【3-4-1-37】複勝率17.8%、5歳【6-5-3-41】複勝率25.5%の2世代が主力で、どちらかといえば後者が優勢。6歳【0-0-5-38】複勝率11.6%は連対がなく、7歳以上【0-0-0-9】は馬券にも絡んでいない。

「6歳3月で引退」の規定があるクラブの牝馬にとって、ここはラストランとしてうってつけの番組だ。ただ「最後だからメイチの仕上げ」とはならないようで、基本的に高齢馬は軽視が妥当だ。

愛知杯の前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別成績では、3勝クラス組【0-4-4-14】複勝率36.4%が目を引く数字。1着こそないが、複勝回収率143%と妙味がある。「牝馬は格より勢い」の格言は令和の時代でも健在のようだ。ベガリス、オードリーバローズらが該当する。

OP・リステッド組は【2-2-2-47】複勝率11.3%で全体的に低調。特に距離延長組は【0-0-1-23】と振るわない。

GⅢ組【3-2-2-45】複勝率13.5%の好走例は、ターコイズS組【2-2-1-19】複勝率20.8%と京都金杯組【1-0-1-3】複勝率40.0%だけ。こちらも距離延長は【0-0-0-18】とさっぱりだ。

GⅡ組【2-0-1-11】複勝率21.4%は、スワンSか阪神Cで着差0.7秒以内なら【2-0-1-4】複勝率42.9%。牡馬の強敵相手に善戦してきた馬は軽視できない。クランフォード(スワンS0.6秒差13着)の反撃に注意したい。

GⅠ組【2-0-1-4】複勝率42.9%は母数が少ないものの、さすがの成績。ただし、7例いずれも前年秋GⅠからの出走であった。オークス以降、夏負けもあって休養が長引いたスウィープフィートも同列に扱えるかは疑問が残る。

餅は餅屋、中京は中京巧者

「京都牝馬S」のデータはこのあたりで切り上げて、今度は中京芝1400mのコースデータを調べる。過去5年、古馬3勝クラス以上で行われた16レースを対象とする。

中京芝1400mの所属別成績,ⒸSPAIA


東西所属別に成績を見ると、関東馬【1-1-2-45】複勝率8.2%に対し、関西馬【15-15-14-133】複勝率24.9%と決定的な差がついている。中京と聞くとなんとなく東西の中間地点のようにイメージしがちだが、成績的には関西馬の本拠地だ。そもそも交通アクセスも美浦→中京と栗東→中京では所要時間が全然違う。

中京芝1400mのその他データ,ⒸSPAIA


最後にその他気になったデータを。前走でも中京コースに出走し、3着以内だった馬が【2-4-4-3】複勝率76.9%と圧倒的。餅は餅屋、中京は中京巧者とでもいうべきか。クセのある中京コースで既に実績がある馬は心強い。

また、6~8枠が複勝率23.8%、単回収率145%、複回収率105%と黒字圏なのもポイント。ちなみに16頭以上の多頭数に限っても複勝率24.0%、単回収率177%、複回収率153%と数字は落ちない。中京=内枠有利と言われがちだが、初角までが長い1400mに関しては、外枠が減点材料にならない。この点は意識しよう。

データ満点ベガリス

「6歳以上は連対なし」「前走3勝クラス組が好成績」「スワンSか阪神Cで善戦した馬が吉」「関西馬優勢」「前走中京で3着以内なら複勝率76.9%」などのデータを踏まえ、具体的に登録馬について見ていこう。

まずデータ的には中京の3勝クラス・飛騨Sを勝った関西馬、5歳のベガリスが満点評価だ。全4勝を左回りの芝1400mで挙げており、中京でも2勝。コース適性は申し分ない。ただしレース内容を見ると、前走は開幕週の馬場に恵まれた面が大きい逃げ切りだった。

GⅡ組の好走条件を満たしていたクランフォードは、2走前にこのコースで1:19.0のレコード勝ち。中京実績馬を狙うという観点からも推せる。スワンSは1~3着いずれも4角2桁順位の馬が台頭する差し有利の展開であった。先行しての0.6秒差なら悲観は不要だろう。牝馬限定戦、GⅢで反転攻勢といきたいところだ。

そのクランフォードにスワンSで先着したのがシングザットソング。こちらも先行不利の展開を粘っており、レース内容は上々だ。フィリーズレビュー勝ちの実績馬で1400mの距離はベスト。8枠15番で競馬が難しかったターコイズSも0.4秒差と大きく負けていない。久々に重賞を勝てるチャンスだ。

ほか「前走3勝クラス」を満たすオードリーバローズや、GⅠ組のスウィープフィートあたりが連下候補。反対に、距離延長のカピリナ、グランテスト、セントメモリーズらはデータ的に手を出しにくい。

過去9年の京都牝馬Sのデータから見る愛知杯,ⒸSPAIA


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