牝馬戦線は早くも樫の舞台へ
3歳牝馬戦線は3月半ばには早くもオークスへ向けたもう一本の道、中距離の道ができる。フラワーCはなんとか桜花賞に間に合う時期にあり、最後の切符でもあるが、ここに駒を進める時点で中距離に狙いを定める陣営も多い。
翌週1勝クラスのミモザ賞(中山芝2000m)からフローラSなど、桜ではなく樫を目指す馬たちの戦いもしっかりチェックし、クラシックを隅々まで堪能したいものだ。
舞台の中山芝1800mは中山記念、中山牝馬S、スプリングSときて、フラワーCが最後。早くも今年の重賞はこれでおしまいになる。
古馬GⅡ、古馬牝馬GⅢ、牡馬クラシックトライアルと進み、最後に待つフラワーCは差し馬には厳しく、逃げ、先行が断然。内回り芝1800mは3歳牝馬にとって忙しく、そして最後の急坂が辛い。脚力の違いを見せつけるのではなく、機動力の差とスタミナでしのぎきる重賞だ。データは過去10年分を使用する。

1番人気【3-1-4-2】勝率30.0%、複勝率80.0%で2番人気も【5-2-1-2】勝率50.0%、複勝率80.0%と、混戦という前評判ほど荒れない。比較がつきにくいメンバー構成のなか、それでも上位人気に推された場合は逆らわずに味方につけよう。
2、3着でみれば8番人気【0-3-0-7】複勝率30.0%など、人気薄の飛び込みもある。大振り厳禁ではあるが、注意深く穴馬を拾っていかないと的中にはたどり着かない。

キャリア1戦は【1-0-0-10】で勝率・複勝率とも9.1%に留まる。2020年に12番人気アブレイズが勝ったものの、それ以外は苦戦を強いられている。続いて2戦【3-1-5-22】(勝率9.7%、複勝率29.0%)、3戦【3-3-0-35】(勝率7.3%、複勝率14.6%)、4戦【1-3-3-9】(勝率6.3%、複勝率43.8%)と経験に重きをおきたい。
つばき賞を勝ったパラディレーヌに注目
2勝馬はゴーソーファー、ジャルディニエ、パラディレーヌなど。ほぼ1勝馬同士の争いはフラワーCあるある。過去10年、勝ち馬は1勝馬5頭、2勝馬5頭と互角。1勝馬であっても評価は落とせない。

前走重賞は阪神JF【0-1-1-3】複勝率40.0%とフェアリーS【1-2-0-6】勝率11.1%、複勝率33.3%が上位。ここは6着以下でも【0-2-0-4】と着順を問わない。ジャルディニエの巻き返しもある。
一方、クイーンCは【0-0-0-14】。実は重賞組のデータはクイーンCが足かせになっており、これを除くと【1-3-2-14】で複勝率30.0%と悪くない。

とはいえ、主力は前走1勝クラス【6-5-7-41】勝率10.2%、複勝率30.5%だ。こちらは距離でみる。
前走1800mだと【2-2-2-20】勝率7.7%、複勝率23.1%と凡走も目立つが、これを前走1着に絞れば【2-2-2-5】と好走データに生まれ変わる。つばき賞を勝ったパラディレーヌがこちらに該当。これは2017年の勝ち馬ファンディーナと同じローテだ。ちなみに2着以下は【0-0-0-15】となっている。
ゴーソーファーなどが当てはまる前走1800m超は【0-3-1-5】で、複勝率44.4%だが勝ちきれない。対して1800m未満が【4-0-4-16】勝率16.7%、複勝率33.3%なので、短縮のスタミナよりマイルなどスピード経験を重視したい。ゴールに向かって加速したゴーソーファーは体力を感じるレース振りだっただけに気になるところだ。
最後に前走未勝利は1800mが【2-1-0-11】勝率14.3%、複勝率21.4%と断然で、これ以外の距離だと【0-1-0-18】。距離変化はいただけない。1勝クラスと混同しないようにしよう。マイルで未勝利を勝ちあがった馬たちも多く、取り扱いに注意だ。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。
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