「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【ファルコンS】1番人気が勝てない重賞 前走左回りなら1400m組シルバーレインに注目

2025 3/16 17:00勝木淳
過去10年のデータから見るファルコンステークス,ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

1番人気10連敗中

前哨戦はたいてい本番と同距離か短い距離で設定される。短縮ローテで本番へという形は少ない。なかでも厄介なのはマイル戦の前哨戦に設定される1400mのレースだ。

安田記念:前走京王杯SC【1-1-1-22】
マイルCS:前走スワンS【0-1-2-27】
阪神JF:前走ファンタジーS【2-0-2-30】
朝日杯FS:前走京王杯2歳S【0-2-2-24】
桜花賞:前走フィリーズレビュー【1-0-2-42】
※着度数は過去10年。

いずれも苦戦を強いられる。そして、NHKマイルCにおける前走ファルコンSは【1-0-2-19】で、勝ったのは2020年ラウダシオン(ファルコンS2着)だけ。たった200mの違いだが、カテゴリーの境目でもある。

1400mはハイペースならスプリント戦の要素を問われ、スローになるとマイルっぽい流れに近づく。どちらかといえばスプリントに近い距離であり、マイルで試される溜めを問われない。マイルを1400mのノリで走ると、必ずといっていいほど最後に苦しくなる。

本番との相性はさておき、そんな微妙な立ち位置にある1400m戦は波乱含みであり、馬券の難易度が高く、解きがいがいある。まして3歳春の適性が定まらない時期とあっては、実績だけで判断するのは危なっかしい。

好走ゾーンを的確につかみ、混戦を切り抜けよう。データは過去10年分を使用する。

人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【0-3-1-6】複勝率40.0%と未勝利。中京芝1400mで行われた12年以降でも14年タガノグランパしか勝っていない。目下10連敗中だ。

2番人気【2-1-2-5】勝率20.0%、複勝率50.0%、3番人気【3-2-0-5】勝率30.0%、複勝率50.0%と続き、6番人気以下が4勝と波乱傾向にある。4番人気以下に突出した数字はなく、どこから激走馬が出てもおかしくない状況だ。

キャリア別成績,ⒸSPAIA


キャリアでは6戦が【4-1-1-16】勝率18.2%、複勝率27.3%と頂点であり、4戦【4-2-1-32】勝率10.3%、複勝率17.9%などキャリアを重ねた馬たちが走る。浅いキャリアを補う素質より経験に重きを置くレースだ。

前走が優秀なシルバーレイン

重賞ウイナーは新潟2歳Sトータルクラリティ、京王杯2歳Sパンジャタワーだが、朝日杯FS13、12着と大敗を喫し、実績最上位というには心もとない。

前走競馬場別成績,ⒸSPAIA


ざっくりいうと、前走左回り【6-4-3-44】勝率10.5%、複勝率22.8%、右回り【4-6-7-91】勝率3.7%、複勝率15.7%で左回りが上。もちろん、分母が57、108と倍近い開きがある。

これを考えると、そこまで左回り断然というわけでもなく、2着、3着はむしろ右回りが上にくる。まずこの前提を頭に入れたうえで進めていこう。

前走左回り・距離別成績,ⒸSPAIA


左回りは前走同距離が【5-3-2-30】勝率12.5%、複勝率25.0%で短縮【1-1-1-13】勝率6.3%、複勝率18.8%より好走確率が高い。短縮といえば、左回りのシンザン記念は【1-0-0-3】で、2021年にルークズネストが前走2着から勝利した。一方でシンザン記念10着以下だと【0-0-0-2】だ。

前走左回り1400・着順別成績,ⒸSPAIA


前走左回り1400mは1着【2-2-2-9】勝率13.3%、複勝率40.0%、2着【1-1-0-2】勝率25.0%、複勝率50.0%と上位好走がひとつの目安。クロッカスSで初勝利をあげたクラスペディア、東京芝1400mで2勝目をあげたシルバーレインなどは好走候補だ。

どちらも同じ冬の東京だが、クロッカスSは1:22.9、シルバーレインの1勝クラス平場1:21.1と決着時計に開きがある。これは前半600m通過36.7、34.1とペースの違いによるもの。逃げてスローペースに落としたクラスペディアより後半600m35.5の流れを上がり33.2で差し切ったシルバーレインに軍配が上がる。

シルバーレインは母ノームコア、叔母クロノジェネシスと血統も申し分ない。スプリント色の血統ではなく、ハイペースになった際どうなるか。不安はそこだろうか。

一方で3、4着【0-0-0-9】と惜敗は微妙で、5~9着【2-0-0-5】に妙味を感じる。1勝馬だが、ラパンチュールは春菜賞5着。前走は3戦連続1200m出走からの距離延長だった。

牝馬ながらここに出走するのは現状1400mまでという判断か。牝馬は【1-0-1-22】。20年1着シャインガーネットはフェアリーS4着から短縮で勝利した。

前走右回り・距離別成績,ⒸSPAIA


右回りは短縮が【3-6-6-37】勝率5.8%、複勝率28.8%、同距離【0-0-0-15】と左回りとは正反対であり、混同しないよう整理しておこう。

万両賞2着ヤンキーバローズ、京都で未勝利を勝ったモンタルチーノなどは減点となる。距離短縮組は1、2着【0-1-0-9】に対し、3~5着【2-2-0-6】、6着以下【1-3-6-22】と好走より負けた組に注目。朝日杯FSで負けた馬たちも馬券に組み込もう。

過去10年のデータから見るファルコンS,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。

《関連記事》
【ファルコンS】特別登録馬一覧
【ファルコンS】過去10年のレースデータ
安定のルメール騎手、頭にしたい川田将雅騎手 東大HCが「3歳重賞に強い騎手、調教師、種牡馬」を調査