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【京成杯】前走クラスと距離を中心に傾向をつかむ 最有力は好相性「葉牡丹賞組」ゲルチュタール

2025 1/13 17:00勝木淳
過去10年のデータから見る京成杯,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

出世レースに変身

19日に中山競馬場で開催される京成杯。かつては皐月賞と同舞台ながら、1月の重賞とあってか、本番にはつながらない非出世レースといわれてきた。

だが、2年前の勝ち馬は皐月賞馬ソールオリエンス、昨年の1、2着ダノンデサイル、アーバンシックがダービーと菊花賞を制した。たった2年で牡馬クラシック三競走それぞれに勝ち馬を出したことで、京成杯は出世レースへ変身を遂げた。これはノーザンファームが特に力を入れる早期賞金加算と前線基地での体力強化を意図したローテーション改革の影響だ。

競馬による消耗と回復、そこからの上積み。逆算すると、1、2月でクラシック出走を決めたい。フレッシュな状態で皐月賞、ダービーと進むために、京成杯は貴重な場になった。データは過去10年分を使用する。

人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【3-2-1-4】勝率30.0%、複勝率60.0%、2番人気【1-4-1-4】勝率10.0%、複勝率60.0%と好走率が高く、3番人気から7番人気はほぼ同列。6番人気【1-0-4-5】勝率10.0%、複勝率50.0%など穴っぽい馬もよく走る。

中穴までは横並びで、序列がアテにならない。この時期の3歳限定戦は人気ほど実力の差はない。ダノンデサイルも当時は5番人気だった。

キャリア別成績,ⒸSPAIA


新馬戦勝ち直後のキャリア1戦が【4-1-2-14】勝率19.0%、複勝率33.3%と目立ち、ついで3戦が【5-3-4-28】勝率12.5%、複勝率30.0%で、2戦は【1-4-3-32】勝率2.5%、複勝率20.0%と2、3着が多い。

キャリア2戦を詳しくみると、未勝利戦勝利の直後だと【0-2-2-12】複勝率25.0%、1勝クラス3着以内【1-2-1-6】。キャリア2戦の理想は新馬勝ち→1勝クラス好走と着実に手ごたえをつかんでいることだ。同舞台の葉牡丹賞2着ゲルチュタールが当てはまる。

最有力は同舞台2着のゲルチュタール

デイリー杯2歳S2着ドラゴンブーストのほかは1勝馬ばかり。例年なら低レベルの一戦と決めつけるところだが、ソールオリエンス、ダノンデサイルも当時1勝馬だった。今年も将来のクラシック級が潜んでいるかもしれない。

前走新馬・距離別成績,ⒸSPAIA


まずは好調な前走新馬戦組から。距離内訳をみると、1800m【3-0-1-9】勝率23.1%、複勝率30.8%、2000m【1-1-1-4】勝率14.3%、複勝率42.9%と中距離デビューが条件になる。

単勝を買うなら1800mからの距離延長。やや短い距離でスピードに慣らし、距離延長に対応できる大人びた走りが勝利の条件だ。もちろん2000mも悪くなく、アイアンバローズ、ジャスティンパレスらの弟である良血キングノジョーも出世コースに乗る可能性は高い。

キャリア2戦以上・前走クラス別成績,ⒸSPAIA


キャリア2戦以上は前走クラスをチェックする。重賞【2-2-2-34】勝率5.0%、複勝率15.0%に対し、1勝クラス【3-2-4-28】勝率8.1%、複勝率24.3%、OP/L【1-1-0-4】勝率16.7%、複勝率33.3%なので、重賞経験がアドバンテージになるとは限らない。やはり冬の3歳重賞らしく、買う側が思うほど力差はない。

前走1勝クラス・距離別成績,ⒸSPAIA


前走1勝クラスは前走2000m【3-2-4-19】勝率10.7%、複勝率32.1%、2000m未満【0-0-0-9】と明暗くっきり。新馬とは異なり距離延長の好走がないので、混同しないようにしよう。

ちなみに葉牡丹賞は【2-1-2-5】で、1、2着に限ると【2-1-1-2】。ハナ差2着ゲルチュタールは最有力といっていい。葉牡丹賞は前後半1000m59.4-59.4のイーブン。レコード決着だった。中盤で緩みながらも、後半1200mは12.3-11.9-12.2-12.0-11.7-11.6。タイトなラップからラストで加速と内容が濃い。

なお前走未勝利戦【0-4-2-26】複勝率18.8%は勝ち馬こそ出ていないが、馬券的には見限れない。

こちらは2000m【0-3-2-21】複勝率19.2%、1800m【0-1-0-4】複勝率20.0%と分母に差があるものの、複勝率は互角。2000mの未勝利を勝ったインターポーザー、パーティハーンや、1800m経由のタイセイリコルド、ニシノエージェントなどは買い目に入れたいところ。点数は増えてしまうが、中穴が馬券によく絡むレースでもあり、下手に絞れない。

過去10年のデータから見る京成杯,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。

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