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【大阪杯】血統、適性、能力と文句なし! Cアナライズではジェラルディーナが断然

2023 3/28 11:00貴シンジ
大阪杯過去10年、前走着順別成績,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

毎日杯ではキングズレインとオメガリッチマンを推奨し、前者が1番人気12着、後者が10番人気6着だった。キングズレインに関しては進みが悪かったとのことで、本調子ではなかったのだろうか。オメガリッチマンは進路取りにかなり苦労した印象で勿体ない競馬だった。

さて、今回は4月2日(日)阪神競馬場で行われる大阪杯について下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった17頭から、出走回避を表明したプログノーシスを除いた16頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。


重要データ:前走人気と前走着順が明暗を分ける

前走人気別成績,ⒸSPAIA


重要データで取り上げるのは前走人気別成績と着順別成績。まずは前走人気別成績を見ていく(前走海外除く)。好走率の大きな境界線は4番人気と5番人気。4番人気以上だった馬の成績は【8-8-10-53】で単勝回収率136%、複勝回収率92%と高水準。対して5番人気以下だった馬の成績は【1-2-0-45】で単勝回収率25%、複勝回収率22%と低水準だ。

前走着順別成績,ⒸSPAIA


もう一つ重要な点は前走着順だ。こちらは5着以内と6着以下で明暗が分かれる。前走5着以内だった馬の成績は【9-8-10-61】で単勝回収率125%、複勝回収率86%と高水準。対して前走6着以下だった馬の成績は【1-2-0-41】で単勝回収率27%、複勝回収率20%と低水準だった。

前走4番人気以上かつ前走5着以内の馬の成績,ⒸSPAIA


前述の「前走4番人気以内」「前走5着以内」という2つのファクターをクリアした馬の成績は【8-7-10-40】で単勝回収率166%、複勝回収率107%とプラスになるため、今回はこのデータに該当した馬を推奨馬の選定対象にする。上位人気が予想されるヒシイグアスは前走5番人気のためこのデータからは割引が必要だ。

1頭だけ除外したいのはノースザワールド。本馬は2つのデータをクリアしているが、前走は3勝クラス。3勝クラスからの臨戦では好走例がないので、今回は対象から外す。

【前走4番人気以上かつ5着以内】
・キラーアビリティ
・ジェラルディーナ
・スターズオンアース
・(ノースザワールド)
・ノースブリッジ
・ヒンドゥタイムズ
・ヴェルトライゼンデ


重要データ:Lyphardは好相性

Lyphardの血を持つ馬の成績,ⒸSPAIA


今回はもう一つ重要データを紹介する。大阪杯と相性の良い血として挙げたいのがLyphardだ。Lyphardの特徴の中でも最も重要な点は機動力の高さ。本レースは阪神芝2000mは内回りコースで行われるため、コーナリング性能の高さであったり、道中のポジションが非常に重要な要素となる。

そんなレースでLyphardを持っているということは、優位にレースを進められる可能性がある血統構成と言えるだろう。父方にLyphardを持つ馬【8-6-5-41】、母方にLyphardを持つ馬【2-2-2-11】、Lyphardのインブリードを持つ馬【1-1-2-3】で、インブリードとなると複勝率は50%を超える。

【Lyphardのインブリードを持つ馬】
・ジェラルディーナ
・ダノンザキッド
・ヒンドゥタイムズ


前走不利データ:有馬記念のジェラルディーナ

ジェラルディーナの前走は有馬記念3着。有馬記念はグランプリレースに相応しく、前走どのレースからの臨戦なのかが重要なポイントだった。同馬はエリザベス女王杯1着からの臨戦で、エリザベス女王杯組は【0-2-0-18】と結果が出ていなかった。そんな中でも3着に好走したのは成長力のある血統背景あってこそだろう。


血統解説:ジェラルディーナ

・ジェラルディーナ
日本での牝祖は祖母ドナブリーニ。ドナブリーニ自身もチヴァリーパークS(GⅠ・芝6F)を勝つなど競走馬としての実績も一流だが、繁殖成績は超一流。産駒のドナウブルー(父ディープインパクト)は重賞2勝のほかVM2着、マイルCS3着などの実績があり、阪神牝馬S3着のドナウデルタ(父ロードカナロア)を輩出。ドナウブルーの全妹にあたるのが本馬の母ジェンティルドンナだ。

ジェンティルドンナは牝馬三冠に加えてJC連覇などGⅠを7勝した超級の名牝。ジェンティルドンナ、ドナウブルーもそうだったように成長力にスピード性能、持続力の高さがこのファミリーの特徴だ。

3代母Cal Norma's Ladyを根幹とするファミリーからは19年ダービー馬ロジャーバローズ(父ディープインパクト)も出ていて、そのダービーもこの牝系らしさがでた一戦だった。本馬はモーリス×ジェンティルドンナということで成長力の塊のような配合。前述のデータでも紹介した通りLyphardらしさもしっかり持っていて、有馬記念もかなりの出遅れの中、馬群を捌いて3着まで着順を上げた機動力は素晴らしかった。

モーリス産駒は底力が求められるような展開に強く、ペースが上がればよりチャンスは増すだろう。エリザベス女王杯、有馬記念と連続好走し、4歳秋に本格化を迎えた。クラブ規定によりラストシーズンとなる今年は最高の一年になる予感がする。

ジェラルディーナの血統表,ⒸSPAIA


Cアナライズではジェラルディーナを推奨

今回のCアナライズではジェラルディーナを推奨する。春のGⅠは大阪杯(阪神内回り2000m)、宝塚記念(阪神内回り2200m)と機動力、パワーを求められる舞台が揃い、この馬が両方勝ってもなんら不思議ではない。執筆時点ではスターズオンアース、ヒシイグアス、ジェラルディーナのどれが一番人気になるのか分からないが、一番人気でも問題なく単勝で勝負したい。

相手を一頭挙げるなら穴どころのヒンドゥタイムズ。適性が高く、好走データにも合致しており面白い存在だ。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほかPOG本での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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