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【ダービー卿CT】ジャスティンカフェに好データも、中山への対応は疑問符 ゾンニッヒ、フラーズダルムが面白い

2023 3/26 17:00勝木淳
ダービー卿CTインフォグラフィック,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

4、5番人気が優勢

春の中山は難解な重賞が多く組まれているが、とりわけダービー卿CTは最難関クラスに位置する。安田記念を意識するというより、この先、夏に向けてマイル戦線を戦う上で賞金を稼ぎたい馬たちを中心に構成され、かつハンデ戦で力関係が複雑になる。まさに馬券師たちの腕の見せ所だ。データは過去10年間のものを使用する。

過去10年ダービー卿CT人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【1-2-1-6】勝率10.0%、複勝率40.0%で、勝ったのは2015年モーリス1頭。2番人気も【1-0-3-6】勝率10.0%、複勝率40.0%、3番人気【1-1-0-8】勝率10.0%、複勝率20.0%で上位人気とは思えない頼りなさ。その分、4番人気【3-3-0-4】勝率30.0%、複勝率60.0%、5番人気【3-0-2-5】勝率30.0%、複勝率50.0%とホットスポットがある。対抗格評価でも十分戦えるレースだ。いかにも穴っぽい6~8番人気がやや振るわないものの、9番人気【0-1-2-7】複勝率30.0%、10番人気以下【1-2-0-66】勝率1.4%、複勝率4.3%と大穴まで注意が必要だ。

過去10年ダービー卿CT年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別はもう少しわかりやすく、4歳【4-4-1-28】勝率10.8%、複勝率24.3%、5歳【5-2-7-26】勝率12.5%、複勝率35.0%と若い組が主力。6歳【0-4-1-33】複勝率13.2%、7歳以上【1-0-1-42】勝率2.3%、複勝率4.5%とベテランもマークしなくてはいけないが、本命候補はシンプルに4、5歳に絞ってもいい。


前走で3勝クラス突破、レッドモンレーヴも有力

1~3番人気より4、5番人気優勢、4、5歳中心といった傾向をつかんだところで、ここからは前走戦績から好走ゾーンに入ってくる馬を探っていく。

過去10年ダービー卿CT前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別をみると、重賞組ではGⅢ【3-3-3-54】勝率4.8%、複勝率14.3%が目立つ程度。3勝クラス【5-1-1-9】勝率31.3%、複勝率43.8%、オープン・L【2-4-4-46】勝率3.6%、複勝率17.9%が好成績といった点も難関な証だ。

過去10年ダービー卿CT前走GⅢ組レース別成績,ⒸSPAIA


前走GⅢの内訳をみると、東京新聞杯【1-2-2-17】勝率4.5%、複勝率22.7%は頭数が多い割にという印象がある。ここは5着以内【1-2-0-4】、6着以下【0-0-2-12】で、4着ジャスティンカフェが該当する。東京新聞杯はウインカーネリアンが前後半800m45.8-46.0で逃げ切った。ジャスティンカフェは上がり最速33.3を繰り出すも4着まで。物理的に難しかった。ただし、ジャスティンカフェはいかにも東京や阪神外回り向きで中山への対応は正直、半信半疑だ。この馬を来ないと踏むなら、今年も波乱が待っているか。

ほかではサブライムアンセムらの京都牝馬S【1-0-0-3】勝率、複勝率25.0%、ウイングレイテストの小倉大賞典は【0-0-1-8】複勝率11.1%。ウイングレイテストは2走前にニューイヤーSで同舞台勝利があるので侮れないが、このレースは前後半800m47.4-45.8での逃げ切り勝ちで、恵まれた感は確かにある。

過去10年ダービー卿CT前走オープン・L組距離別成績,ⒸSPAIA


次に前走オープン・L【2-4-4-46】勝率3.6%、複勝率17.9%について距離別成績を。1600m【2-4-4-37】勝率4.3%、複勝率21.3%、それ以外【0-0-0-9】。マイルに絞っていい。前哨戦的な位置づけにある東風Sは【2-3-2-24】勝率6.5%、複勝率22.6%。5着以内が【1-2-2-15】なので、ゾンニッヒはマークしたい。東風Sは前後半800m46.1-46.9の平均的な流れになり、番手ラインベックが勝ち、好位ゾンニッヒが2着、3着に逃げたノルカソルカが粘り込んだ。ノルカソルカが離し気味に逃げる変則的なレースで、後ろの組は脚の使いどころが難しく、決着時計1:33.0となると、そう鵜呑みにできないところはある。

過去10年ダービー卿CT前走オープン・L・1600m組着順別成績,ⒸSPAIA


複数出走予定がある、前走がマイルのオープン・Lだった馬の着順別成績をみると、勝った馬が【0-1-0-10】複勝率9.1%と裏切るケースが目立つ点は見逃せない。ならば2~4着【1-2-4-8】から東風S2着ゾンニッヒ、洛陽S4着フラーズダルムあたりが面白い。

最後に前走3勝クラス【5-1-1-9】勝率31.3%、複勝率43.8%について。ここも1600mだと【3-1-1-7】勝率25.0%、複勝率41.7%。節分Sを勝ったレッドモンレーヴは有力候補になる。節分Sは前後半800m48.1-45.5のスローを好位から上がり33.1で差し切ったもの。こちらも東京寄りの適性に見えるが、中山2勝で器用なところもある。立ち回りひとつではないか。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。

過去10年ダービー卿CTインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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