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【京都新聞杯】いざ日本ダービーへ! レッドジェネシスの大逆転はあるか?

2021 5/10 11:26勝木淳
2021年京都新聞杯のレース結果ⒸSPAIA
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最終東上便は反転攻勢の狼煙

京都新聞杯が春に移った2000年以降、同レース経由で日本ダービーを勝利した馬はアグネスフライト、キズナ、ロジャーバローズの3頭。2、3着は4頭。合計7頭が日本ダービーで馬券圏内に入った。ロジャーバローズ以外は京都新聞杯1着、またハーツクライを除く6頭は、皐月賞に出走していなかった。

クラシック戦線は2歳6月から3歳5月末までで一区切り。期間はたった1年間しかない。いかにピークの状態で日本ダービーに出走できるか。皐月賞組を逆転するには、余裕をもって京都新聞杯を勝つ必要がある。勝ったレッドジェネシスは3月ゆきやなぎ賞で阪神芝2400mを圧勝し、オープン入り。皐月賞には目もくれず、日本ダービー出走を京都新聞杯にかけ、見事に勝利。ここまでは理想的な展開だ。

思惑が一致した、持久力勝負

レースは正面スタンド前で一旦ブレークアップがハナに行くも、ルペルカーリアがハナを奪い返す形で主導権を握る。毎日杯でディープインパクト産駒3頭に屈したモーリス産駒ルペルカーリアにとって勝つために必要なのは瞬発力勝負に持ち込ませないことだった。この攻防でやや速くなったが、向正面ではペースを落とし、1000m通過は59.9。遅くなりすぎない絶妙な流れを作った。

だが、同じことを考える先行馬が多く、くだり勾配に転じた残り1200m地点から2番手に控えたブレークアップが、中団から押し上げたゲヴィナーに呼応するように先に動き、ルペルカーリアにプレッシャーをかける。ここから2頭が後ろを離し、ラップは急転、11.4-11.5-11.5と4コーナーにかけてペースアップした。

この加速でブレークアップを競り落としたルペルカーリアだが、さすがに最後の坂で苦しくなり、モタれるような仕草。福永祐一騎手が左ステッキと右の手綱操作で立て直す。その間にレッドジェネシスに捕らえられた。悔しい2着だが、自力で勝ちに行った競馬で、レッドジェネシス以外は封じており、今後も期待できる内容だった。

捕らえたレッドジェネシスは早めにペースがあがる競馬で持ち味のスタミナを活かせた。途中で動いて前を捕らえに行ったゆきやなぎ賞をみても、持久戦に強い。淡々と流れる競馬だと折り合いなど難しい面も見せるところがあり、末脚が鈍る。日本ダービーが京都新聞杯のように早めにペースアップする競馬になれば、一発はある。

2歳夏のデビュー以来、競馬で見せていた幼さが影を潜め、ようやく軌道に乗ってきた印象。遅れてきた大物、その気配はある。父ディープインパクト、母の父ストームキャットは京都新聞杯から日本ダービーを勝ったキズナと同配合。祖母の全兄にイギリス2000ギニーを勝ったキングオブキングスがいる。まだまだ奥がある血統だ。

レッドジェネシスに立ちはだかる、二つの壁

3着は2番人気マカオンドール。道中はレッドジェネシスをマーク、外から捕らえに行くも及ばなかった。同条件の大寒桜賞勝ちがあるように中京の中距離は合う。ゴールドシップ産駒らしく軽いレースは不向きも、今回のような持久力戦、かつ直線が長い競馬場でのレースがいい。今回はあと一歩足りなかったが、今後も適性をしっかり覚えておき、適条件で狙っていきたい。

勝ったレッドジェネシスが逆転を狙えるか。それはここから中2週というディープインパクト産駒には厳しい出走間隔と、主戦の川田将雅騎手がダノンザキッドに騎乗するため、乗り替わりが予想される点にかかる。2000年以降、日本ダービーでの乗り替わりは【0-7-7-110】。出走間隔と騎手、レッドジェネシスは、この二つの壁を乗り越えられるか。


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。

2021年京都新聞杯のレース展開インフォグラフィックⒸSPAIA


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