9月18日にグスマンと8回戦
キックボクシングからボクシングに転向した東洋太平洋スーパーバンタム級8位・那須川天心(25=帝拳)が18日に東京・有明アリーナでメキシコバンタム級王者ルイス・グスマン(27)とスーパーバンタム級8回戦に臨む。
天心は4月8日に当時日本バンタム級2位だった与那覇勇気(33=真正)に6回判定勝ちでボクシングデビュー。2戦目の相手は9戦9勝(7KO)のファン・フローレス(23=メキシコ)と一度は発表されたが、フローレスが新型コロナウイルスに感染したため、グスマンに変更された。
10日に来日したグスマンは10勝(6KO)2敗と戦績は驚くほどでもないが、メキシコ王座を1度防衛している現役王者。情報が少ないため未知数の部分も多いものの、メキシカン特有のいやらしさ、やりにくさはありそうだ。
さらに、サムエル・ベントゥーラマネジャーも世界を獲る前の西岡利晃と2001年に対戦(1回KO負け)するなど日本人ボクサーと3度対戦しており、来日経験も豊富。グスマンにとっては心強い存在だろう。
どこまで「ボクシング仕様」に転換されているか
デビュー2戦目でメキシコの国内王者とはチャレンジングなマッチメイクにも思えるが、急な変更とはいえ世界的ネットワークを持つ帝拳プロモーションが選んだ相手だ。陣営には確かな勝算があるのだろう。
今回求められるのは勝利だけでなく、やはりノックアウト。デビュー戦は2回にダウンを奪いながらも深追いはせず、最終6回も流すかのように足を使ってワンサイドの判定をものにした。
サウスポースタイルの左足に重心が乗りがちで、パンチがやや手打ち気味。加えてボディーブローもほとんど打たなかったのは、与那覇の頭が低かったことだけが理由ではないはずだ。
相手の蹴りを警戒する必要のあるキックボクシングではアップライトに構えるのがセオリーで、相手のボディーは足で攻撃することが多いが、ボクシングではもう少し前足に体重を乗せてクラウチングスタイルで構え、ボディーブローも打てないとノックアウトは量産できない。
キック時代に体に染みついたスタイルが、どこまで「ボクシング仕様」に転換されているかがひとつのカギ。タフなボクサーの多いメキシコの現役王者をノックアウトすれば、今後に向けて一気に視界が広がる。逆に勝ったとしても、2戦連続判定では物足りなさが残るだろう。
世界王者2人を上回る人気と知名度
Amazonプライムビデオで生配信される今回もメインイベントはWBA・WBC世界ライトフライ級王者・寺地拳四朗(31=B.M.B)、セミファイナルにWBO世界スーパーフライ級王者・中谷潤人(25=M.T)の各防衛戦が組まれている。
しかし、国内での人気や知名度はプロ2戦目の天心の方が上。キック時代に培ったカリスマ性や若者からの絶大な支持は、人気回復を狙うボクシング界にとっても「宝」と言える。
そのホープに無敗のまま世界のベルトを巻かせることは、名門・帝拳にとっても大きな仕事だ。だからこそ2戦目は内容も問われる。そして天心もそれに応えるべくトレーニングを積んでいる。
相手の情報が少ないため予想が難しい一戦だが、今度は強さを見せつけるようなKO勝ちを期待したい。
【関連記事】
・那須川天心が判定勝ちでボクシングデビュー、倒し切れなかった「神童」の課題
・中谷潤人が12回KOで2階級制覇!一気にスーパーフライ級の主役へ
・寺地拳四朗をメインに設定した英断と、それに応えた統一王者の心意気