ダウン奪うも2-1判定「気合いで乗り越えた」
井上尚弥(30=大橋)が4階級制覇を果たした25日の同じリングで、日本ライト級11位・今永虎雅(たいが・23=大橋)がヘビ・マラプ(34=インドネシア)に判定勝ちした。
今永はアマチュアで113勝(23KO・RSC)13敗の戦績を残し、アマ10冠の実績を引っ提げてプロ転向した注目のサウスポー。ここまで3連続KO勝利を収めていたが、プロ4戦目は大苦戦した。
マラプはアジアの地域王座を保持する実力者。今永は2回に顎を骨折するアクシデントに見舞われ、4回にダウンを奪ったものの、プロキャリアで初めて8回終了のゴングを聞いた。
2-1の判定で辛くも無敗をキープし、自身のツイッターでは「2ラウンド目にアゴの骨割られてめちゃくちゃ焦ったけどなんとか気合いで乗り越えました笑 KOできなくてしょっぱい試合でしたが、次は必ず倒して勝ちます!」と書き込んでいる。
顎の骨折は高い勉強代となったが、将来的に世界を狙うホープにとって貴重な経験とも言えるだろう。
日本人ライト級王者はガッツ石松、畑山隆則、小堀佑介のみ
今永が戦うライト級は世界的に層の厚い階級。ボクシング創成期にはヘビー級(重量級)とライト級(軽量級)しかなかったことから伝統のある階級でもある。
これまでライト級で世界王座を獲得した日本人はわずか3人しかいない(帝拳所属のホルヘ・リナレスは除く)。「ガッツポーズ」の由来でもあり、5度の防衛に成功したガッツ石松、スーパーフェザー級と2階級制覇した畑山隆則、2008年に3回TKOでWBA王座を強奪した小堀佑介のみだ。
15年間も世界王座に届いていないどころか世界挑戦すら難しく、現在は30戦全勝のデヴィン・ヘイニー(24=アメリカ)が4団体統一王者として君臨している。今永が今後もライト級で戦い続けるのか、前後の階級に転級するのか現段階では分からないが、いずれにしても層の厚い中量級で世界への道は果てしなく遠いことには変わりない。
それでも井上尚弥という最高の手本がいる大橋ジムでトレーニングを続ければ、いつか道が開ける可能性はある。日本人4人目の世界ライト級王者へ、今永の挑戦は続く。
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