生涯スポーツの選択肢にボクシングはあり?
スポーツ庁は第2期スポーツ基本計画に基づき、成人の週1回以上のスポーツ実施率が65%、週3回以上のスポーツ実施率が30%となることを目標に掲げており、日本国民がいつまでもスポーツに親しめる生涯スポーツ社会の実現を目指している。
定期的にスポーツに親しむことは、様々な生活習慣病の予防・改善に効果的であるなど、健康面に対するメリットは周知の事実である。また、スポーツを通してコミュニティが形成されることで、地域や仲間との交流が生まれ、楽しみや生きがいも感じられることだろう。近年では健康志向の高まりから、年を追うごとにランニングやジョギングなど様々なスポーツへの取り組みが増加している。
スポーツ庁が成人のスポーツ実施率に関する調査を行った結果では、2011年の週1回以上のスポーツ実施率は成人全体でおよそ45%であったのに対して、2021年の週1回以上のスポーツ実施率はおよそ60%と、ここ10年でスポーツへの取り組みが急増している。
様々なスポーツがある中で、おすすめしたいのがボクシングだ。フィットネスジムではボクササイズなどの人気も高まっているが、現在は安全かつ実践的な形式でボクシングを楽しむことができる。
全日本マスボクシング大会に8歳から71歳まで参加
ボクシングは、他のスポーツと比べてもパンチにより身体的なダメージを受けることから、実践形式で生涯スポーツとして取り組むのは難しく感じるだろう。また、パンチによりダメージを受けるため、ボクササイズは行っても実践形式でボクシングに取り組むことへの抵抗感を持つ方も多い。
危険を伴うイメージがあるボクシングではあるが、2021年より安全かつボクシングを試合形式で楽しめるマスボクシングの全国大会が開催されたのをご存じだろうか。
マスボクシングとは、寸止めで相手にパンチを当てずに打ち合う実践形式のゲームだ。伝統派空手のような寸止め形式でポイントを競い合う競技をイメージしてもらうとわかりやすい。これまで、パンチを受けることに抵抗があった方でもマスボクシングであれば、実際にパンチをもらいダメージを受ける心配がないため、ボクシングのより本格的なゲーム感覚を楽しめるだろう。
2021年11月に宮崎県で開催された第1回全日本マスボクシング大会には8歳から71歳まで幅広い年齢の方が参加。子供から大人まで安全に楽しめ、全国大会での上位を目指せるなど新感覚の生涯スポーツとしての可能性を秘めている。
階級は年齢と身長でカテゴライズ
通常、ボクシングは体重によって階級が分けられる。しかしながら、マスボクシング大会は体重ではなく年齢と身長によるカテゴリーで階級を分類し競技が行われるのだ。

体重ではなく身長により階級が分類されるため、一般的にボクシングで想像するような減量を行う必要もなく参加しやすい。また、年齢で分けられることで、各年代の体力レベルでゲームが楽しめるのだ。
勝敗はラウンドをより優位に進めた選手に10点をつける「10ポイントマストシステム」、または寸止めでなければ当たったであろうパンチのヒット数を数えて勝敗を決める「加点方式」により勝敗が決まる。
マスボクシングであれば、老若男女関係なく誰でも安全にボクシングを楽しめるだろう。これまでボクシングに対して抵抗があった方も、健康のためにもマスボクシングを生涯スポーツとしての新たな選択肢の1つに取り入れてみてはいかがだろうか。
《ライタープロフィール》
近藤広貴
高校時代にボクシングを始め、全国高校総体3位、東農大時代に全日本選手権3位などの成績を残す。競技引退後は早稲田大学大学院にてスポーツ科学を学ぶ。現在は母校の教員としてボクシング部の指導やスポーツに関する研究を行う傍ら、執筆活動を行っている。
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