各地区候補9校から2校選出
2025年の第97回選抜高校野球大会の「21世紀枠」の各地区候補9校が発表された。2025年1月24日の選考委員会で9校の中から東西を区分せずに2校が選ばれる。
21世紀枠は練習環境のハンデ克服や地域貢献、文武両道などを実践し、高校野球の模範となっている高校に出場機会を与えようと2001年にスタート。同年センバツで宜野座(沖縄)がベスト4入りして旋風を起こした。
2008年に2校から3校に増枠されたが、秋季都道府県大会ベスト16以上(加盟校が129校以上の都道府県はベスト32以上)という条件から一般選考枠出場校とのレベル差によって初戦敗退する例も多く、2024年から再び2校に減少。2025年も21世紀枠2校のほか、一般選考29校、神宮大会枠1校の計32校が3月18日に開幕する選抜大会に出場する。
今回はどのような高校が候補に挙がっているのだろうか。北から順に見ていこう。
釧路江南(北海道)
釧路江南は21世紀枠候補には2006、2007年以来3回目の選出。今秋北海道大会では帯広大谷を2-1、遠軽を2-1で下して8強入りしたが、準々決勝で北海に0-1で敗れた。
1919年に釧路高等女学校として創立。1950年に男女共学となり、校名を釧路江南に変更した。かつて阪神、ロッテでプレーした平山英雄のほか、スピードスケートやアイスホッケーのオリンピック代表選手も輩出している。
野球部はセンバツ出場こそないものの、夏の甲子園には1961、1966、1976、1977年の4回出場。いずれも初戦敗退しており、1976年は原辰徳を擁する東海大相模に0-5で敗れた。
久慈(岩手)
久慈は今秋の岩手大会3位。東北大会では初戦で学法石川(福島)を下したものの2回戦で鶴岡東(山形)に1-8で7回コールド負けした。
1943年に久慈高等女学校として開校。野球部は1979年夏に唯一の甲子園出場を果たしたが、浜田(島根)に3-12で大敗した。
岩手から21世紀枠選出となれば、2004年の一関一、2016年の釜石、2017年の不来方に続いて4校目となる。
横浜清陵(神奈川)
横浜清陵は今秋神奈川大会ベスト8。準々決勝で東海大相模に0-5で敗れた。甲子園出場経験はない。
2004年に清水ケ丘高と大岡高の再編統合により開校。旧清水ヶ丘高は女優・斉藤由貴の母校でもある。
今春の神奈川大会でも8強入りし、夏の神奈川大会では第2シードに選ばれるなど近年着実に力をつけている。神奈川から初の21世紀枠出場となるか。
名古屋たちばな(愛知)
名古屋たちばなは候補9校のうち唯一の私立校。今秋愛知大会で3位に入り、東海大会では初戦で中京(岐阜)に敗れた。
1961年に愛知工芸高として開校。1962年に東海工業高、2001年に愛産大工業高、2024年に名古屋たちばな高に改称した。
2015年秋に名古屋市中区に完成した新校舎は地上8階建の近代的なデザイン。愛知からは2008年の成章、2015年の豊橋工以来となる吉報を待つ。
小松工(石川)
小松工は今秋石川大会で準優勝。東海大会でも初戦で富山北部(富山2位)にサヨナラ勝ち、準々決勝で新潟明訓(新潟1位)を7回コールドで撃破して4強入りした。
準決勝で優勝した敦賀気比(福井1位)に4-9で敗退。同じくベスト4ながら準決勝でコールド負けした高岡第一(富山3位)より評価は高いと見られ、一般選考(北信越は2枠)で選出されてもおかしくない結果だ。
センバツの出場経験はないが、夏の甲子園には1964年と2000年の2回出場。いずれも初戦敗退している。
山城(京都)
山城は今秋京都大会ベスト4。準決勝で龍谷大平安にコールド負けし、3位決定戦でも北稜に敗れたため近畿大会出場を逃した。
センバツには1957年、夏の甲子園には1950年、1952年、1961年と計4回甲子園に出場しているが、いずれも初戦敗退している。
1907年に京都府立第五中学校として創立された伝統校で、全国選手権地区予選に1915年の第1回から皆勤出場している全国15校のうちの1校だ。
阪神タイガースで監督を3度務めたOBの吉田義男は1950年夏の甲子園に出場。全国制覇したこともあるサッカー部は釜本邦茂らを輩出している。
大田(島根)
大田は今秋島根大会4強。準決勝で出雲商、3位決定戦で矢上に敗れたが、地元開催の中国大会に出場し、初戦で境(鳥取1位)を下して8強入りした。
センバツは1941年、1969年、1987年、夏の甲子園には1937年、1959年、1983年と春夏3回ずつ出場している古豪だ。
1921年に開校。阪神タイガースで中継ぎ左腕として1985年の優勝に貢献した福間納やフリーアナウンサーの宮根誠司らを輩出している。
高松東(香川)
高松東は今秋香川大会ベスト4。準決勝で高松商、3位決定戦で英明と県内の強豪の壁を突破できず、四国大会には進出できなかった。
1908年に白山女学校として創設され、1969年に高松東に改称。野球部の甲子園出場はないが、四国学院大を経てプロ入りし、広島カープで5勝を挙げた天野浩一らを輩出している。
同校公式HPによると、今冬はパワーアップを目指して高負荷のウェイトトレーニングや食事によって体重増加に取り組んでいる。
壱岐(長崎)
壱岐は今秋長崎大会準々決勝で創成館を破り、準決勝でも大崎を下して準優勝。創部48年目で初出場した九州大会でも初戦で専大熊本(熊本1位)を下したが、準々決勝でエナジックスポーツ(沖縄2位)に2-9で7回コールド負けした。
1909年に長崎県立中学猶興館壱岐分校として開校。現在の野球部は選手21人全員が壱岐島の出身だ。
過去にも2003年の隠岐(島根)、2011年の佐渡(新潟)、2012年の洲本(兵庫)、2014年の大島(鹿児島)、2016年の小豆島(香川)など島から選ばれた例はあるが、意外に長崎から21世紀枠での選出はない。壱岐が初の甲子園出場となるか注目される。
※大田は中国大会で8強入りしましたが、「中国大会出場はならなかった」と表記しておりました。お詫びして訂正いたします。12月15日14時51分
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