メディア向けのブリーフィングは開催されたが…
ラグビー日本協会は1月28日、新リーグ設立へメディア向けブリーフィングを行い、清宮克幸副会長、岩渕健輔専務理事、太田治トップリーグチェアマン、そして新リーグ立ち上げに際しての準備室長である谷口真由美氏の4名が出席した。
清宮副会長は昨夏の日本協会副会長就任以来、プロリーグの必要性を強く主張しており、その内容は現在も一貫しているが、ここにきて急激にトーンダウンしている印象を受ける。なぜだろう?
その理由の一つとして、トップリーグ参加企業の反応が思った以上に芳しくないということがあるのではないか。
収益を考えた場合に、プロスポーツの収益基盤となるのは興行収益と放映権収入だ。興行収益は試合数と一度に動員できる観客数に、放映権収入は試合数と視聴率、視聴者数に影響される。Jリーグで成功したサッカーやBリーグ誕生で活気づくバスケットボールとは違い、ラグビーの場合、そもそも年間でできる試合数が少ない。
トップリーグは現在16チーム。1チームの年間試合数は15試合である。ブリーフィングの説明では新リーグは、1部(10チーム±2)、2部(10チーム±2)を考えているという。そうなると1部12チームとしても総当たりで11試合しかない。ホーム&アウェイとなると、22試合だが、日本ではかつて単独チームが年間22試合も公式戦を戦った例はない。
プロならそれぐらいは戦ってもという気もするが、果たしてそれで選手の身体が持つかどうか。仮に22試合でもBリーグはもちろんのこと、Jリーグよりも試合数ははるかに少ない。
次に選手や運営側の気持ちである。
「ラグビー選手のプロになりたい。そしてできることなら世界トップレベルに挑戦したい」と考える選手、それを是とする企業がどれだけいるか、といえば、これは現時点では残念ながら少数派に過ぎない。
その証拠に、プロ化へのステップとしてトップリーグが2003年にスタートしたが、一部のプロ契約選手を除き、社員選手が圧倒的に多いまま20年近くが経過した。つまり、運営方式として“悪くはないから” トップリーグになっても変わらなかったのだ。
今季、トップリーグ各チームは、ワールドカップのために代表活動優先の日程を組み、通常より5か月も遅い1月のリーグ戦開幕という形で協力している。また、前年度も代表強化のためシーズンを短縮し、試合数は約半分に減っている。
リーグ開催期間の短縮についてはラグビー日本協会が半ば強引に進めたと感じているクラブ関係者もおり、ラグビー部強化費を預かるチーム運営の立場からすればかなりの不満もあったと聞く。それが表にほとんど出ることがなかったのは、ワールドカップでの日本代表の活躍によりラグビー人気が沸騰し、トップリーグの観客動員につながったので、辛うじて折り合いがついたからだ。