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【チャンピオンズC】機動力に優れたNureyevの血に注目 有力馬の血統解説

2022 12/1 06:00坂上明大
チャンピオンズカップの傾向と血統,インフォグラフィック,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

傾向解説

ジャパンカップダートからチャンピオンズカップと名称を変え、舞台も中京ダ1800mへ移って早9年目。中央GⅠとあってメンバーレベルは相当高い反面、内有利が顕著なイス取りゲーム的な性質が強いレースであることも見過ごせません。血統面を中心に、チャンピオンズCのレース傾向を整理していきましょう。

まず、挙げておきたいデータは枠番別成績。キックバックの影響が強いダート競馬では、内枠有利が顕著な芝競馬とは異なり、コース全体のデータとして枠の有利不利が表面化しないのが一般的。しかし、改修後の中京ダ1800mではスタート位置やコーナー角の関係から内有利が顕著で、好走パターンも「先行」あるいは「イン差し」がセオリーとなっている特異なコースのひとつです。

中京ダ1800mの枠番別成績(過去10年),ⒸSPAIA


位置取りの重要性に繋がるデータでは前走距離別成績もポイント。チャンピオンズCへの最有力ローテーションとしてはJBCクラシックが挙げられ、メンバーレベルの差から好走数自体は多いです。好走率や回収率を考慮するとローテーションの有利性は距離延長>同距離>距離短縮の順。速い流れを経験してきたアドバンテージが活きる舞台といえます。

前走距離別成績(過去8年),ⒸSPAIA


血統面での最注目はNureyev。日本ではゴールドアリュールやKingmamboの母父によく見られる種牡馬です。中京ダ1800mはコーナーで減速が求められやすいため、機動力に優れたNureyevの血が活きやすい舞台のひとつです。ちなみに、2017年勝ち馬ゴールドドリームと2021年勝ち馬テーオーケインズはNureyevの3/4同血の妹Numberを持つ血統馬です。

Nureyev内包馬の成績(過去8年),ⒸSPAIA


血統解説

チャンピオンズカップの傾向と血統,インフォグラフィック,ⒸSPAIA


・テーオーケインズ
昨年の優勝馬テーオーケインズはNureyevの3/4同血の妹Numberを持ち、Blushing Groomなどが機動力をさらに強化した配合形。大箱向きに出やすいA.P. Indy系ですが、父シニスターミニスターは母の良さを引き出す種牡馬でもあり、本馬は母譲りの機動力が持ち味といえるでしょう。JBCクラシックからのローテーションは理想的とは言えませんが、過去最高馬体重の前走を叩いてさらにパフォーマンスを上げる可能性は高そうです。

・クラウンプライド
母エミーズプライドはNureyevの血を持つキングカメハメハ産駒。その他にも、HyperionやLady Jurorの血を豊富に持ち、機動力と粘り強さに優れた血統構成です。先行力にも優れ、中京ダ1800mはベスト条件のひとつ。ただ、前走で完敗を喫したテーオーケインズとの比較では、斤量差が1キロ詰まるためさらにハードルが上がりそうです。

・グロリアムンディ
母ベットーレは芝1200mの伊GⅢ勝ち馬で、本馬の半姉には2020年フィリーズレビュー3着馬ナイントゥファイブがいる血統。キングカメハメハを父に配した本馬はダートで5戦4勝、勝利を逃した1回もオメガパフュームの2着という実績を挙げています。Robertoを母方に持つ点はチュウワウィザードと共通し、Blushing GroomとHalo≒Droneを併せ持つ点はホッコータルマエとリンク。本レースを制したキングカメハメハ産駒の配合パターンを踏襲しており、血統面では最注目の一頭です。


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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