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【ヴィクトリアマイル】好データは「4歳馬」「前走4着以下」など 高配当狙いならマルターズディオサ

2021 5/12 11:00門田光生
ヴィクトリアマイルの前走着順別成績(過去10年)ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

荒れる!ヴィクトリアマイル

2021年5月16日、東京競馬場で行われる第16回ヴィクトリアマイル。リスグラシュー、ラッキーライラック、そしてアーモンドアイなど、近年は牡馬と互角以上に渡り合える馬の参戦が、このレースの価値を一段と高めている。貴重な牝馬限定のGIということもあるだろうが、マイル戦に強い馬が集まるのは世界的な傾向でもあるようだ。

しかし、実績馬が出走してくるからといって堅く収まるレースかといえば、そうでもないようだ。平均馬連配当が1万円を超え、3連複は約31万、3連単に至っては約220万円である。5-12-18番人気で決まり、大波乱となった2015年が平均値を押し上げているのは確かだが、ここ10年で5回、3連単の配当が10万円以上となっている。「荒れる牝馬戦」を体現しているレースといっていいだろう。

栗毛に縁なし?

ヴィクトリアマイル出走馬の所属別ⒸSPAIA


連対馬を所属別で見ると、美浦所属馬が7頭、栗東所属馬は13頭。勝率、連対率はほぼ互角で、この項目に大きな差は見られなかった。ところで、冒頭で「荒れる」と書いたが、ここ10年でふたケタ人気馬が馬券に絡んだのは6回。

美浦、栗東所属馬がそれぞれ3頭ずつなのだが、騎乗していたのはすべて美浦所属の騎手。高配を狙うなら、美浦所属の騎手騎乗馬となる。

ヴィクトリアマイル出走馬の年齢ⒸSPAIA


年齢別だとどうか。最も連対数が多いのは4歳世代の11頭で、勝率、連対率ともトップ。断トツとまではいかなくても、最も馬券に絡む確率が高い世代と考えていいだろう。

7歳以上で馬券に絡んだのは2016年の1着馬ストレイトガールだけで、6歳以上の美浦所属馬に限ると2015年の2着馬ケイアイエレガントだけ。これに当てはまる馬は割り引いていいだろう。

ヴィクトリアマイル出走馬の前走着順ⒸSPAIA
ヴィクトリアマイル出走馬のローテーションⒸSPAIA


荒れるレースとして顕著に表れているのが前走着順のデータ。普通は前走着順がいいほど本番で好走する確率が高いのだが、このヴィクトリアマイルは前走1着馬35頭から勝ち馬が出ておらず、2着も2頭だけ。前走3着まで広げても、勝ったのは2017年のアドマイヤリード(前走2着)しかいない。

同じ掲示板組でも、前走4、5着だった馬の成績がよく、連対率は20%。前走6着以下からは6頭の勝ち馬が出現。大敗からの巻き返しは十分可能で、前走だけで見限ってはいけないということか。

ローテーションに関してだが、中3~8週で使ってきた馬が17連対。中9週以上の間隔で挑んで勝ったのは1頭だけで、中2週以内だと勝ち馬が出ていない。唯一、休み明けで勝ったのは昨年のアーモンドアイ。単勝オッズが1.4倍と抜けた存在であった。基本的に中3~8週以外は評価を下げた方が賢明だ。

ヴィクトリアマイル出走馬の馬主ⒸSPAIA
ヴィクトリアマイル出走馬の生産者ⒸSPAIA


そのアーモンドアイはシルクレーシング所有馬。社台系を筆頭として、クラブ法人の活躍馬が目立つ現代の中央競馬だが、このレースは少し様相が違うようだ。1着馬8頭が個人馬主(法人含む)で、2着馬も6頭。個人馬主の所有馬の活躍が目立っている。

となると、社台グループの生産馬も不振なのだろうか。まずノーザンファーム生産馬だが、6勝、2着5回となっており、生産者の比較だと断トツの成績を残している。対する社台ファームは0勝、2着も1回だけと相性がよくなく、明暗が分かれている。

ヴィクトリアマイルのプラスデータⒸSPAIA
ヴィクトリアマイルのマイナスデータⒸSPAIA


最後に、このレースにおけるプラスとマイナスのデータを少々。まずプラス要素だが、前走が8枠だった馬から6頭の勝ち馬が出ている。当然ながら関係性はよく分からないが、強いデータの部類に入るので無視はできない。

続いてマイナスデータだが、ここで挙げるパターンに当てはまる勝ち馬はいない。まず「前走53キロ以下で走った馬」。牝馬なので割と該当する馬が多いかも。続いて「前走がオープン以下」。荒れるレースといっても、やはり格は大事なようだ。

また「ダイワメジャー産駒」は8頭が出走してすべて着外。とにかく相性の悪さが目立っている。「福島牝馬S組」も24頭の出走馬から勝ち馬はゼロ。最後に「栗毛」。これに関してはもはや意味不明だが、とにかく該当する32頭すべてが圏外。

2013年の2番人気ハナズゴール(6着)、同3番人気サウンドオブハート(14着)、2015年の1番人気ヌーヴォレコルト(5着)、2017年の3番人気レッツゴードンキ(11着)、そして2019年の1番人気ラッキーライラック(4着)などなど、人気ほど走れなかった馬が多数存在。ここまでくると、このレースと縁がないとしか思えない。

一応の本命はマルターズディオサだが……

今回は「荒れる時はどういうパターンか」も踏まえて分析してきたが、そろそろまとめに入る。ヴィクトリアマイルにおける好走パターンは、A「4歳馬」B「前走4着以下」C「中3~8週」D「クラブ法人以外」E「ノーザンファーム生産」、そしてF「前走8枠」の6つ。

続いて凡走パターン。G「前走1着馬」H「社台ファーム生産」I「前走53キロ以下」J「前走オープン以下」K「ダイワメジャー産駒」L「福島牝馬組」、そして最後にM「栗毛」となる。好走パターンが「前走4着以下」、凡走パターンが「前走1着」という時点で、荒れる予感しかしない。

今回、何といっても気になるのが「栗毛」。登録の時点で何とエーポスだけしかおらず、しかも出走順位が一番下。栗毛苦戦の傾向を知って避けてきたとしか思えない。もちろん、そんなわけないのだが。

今年の出走馬を上記のデータに当てはめると、好走パターンを4つ持つ馬がトップとなる。その中で凡走パターンが一つもないのはグランアレグリア(BCEF)、スマイルカナ(ABCD)、ダノンファンタジー(BCDE)、マルターズディオサ(ABCD)、リアアメリア(ABCE)の5頭。思ったより残ってしまった。6つある好走データの中でも特に強いのは、1着馬10頭中9頭に当てはまるB「前走4着以下」とC「中3~8週」。

しかし、これまた5頭すべてが該当。続いては勝ち馬の8頭が当てはまる「クラブ法人以外」。ここでグランアレグリアとリアアメリアが脱落。また、スマイルカナは馬主が「ビッグレットファーム」。牧場名義の勝ち馬は出ていないので、強引だがこれも外す。

残ったのはダノンファンタジーとマルターズディオサ。本命を決める前に、このレースについて少し整理を。過去10年で3連単が万馬券にならなかったのは2回で、いずれも三冠馬(アパパネ、アーモンドアイ)が勝った年。今年は三冠馬が出走していないので、荒れる可能性が高いといえる。堅く収まった2年の連対馬4頭中、3頭が5歳馬で、同じく3頭がノーザンファーム生産馬。これはダノンファンタジーと同じ。

逆に3連単が万馬券となった8年はというと、連対馬16頭中4歳馬が10頭で、5歳馬は3頭。荒れる年はより4歳馬が優勢となっている。また「高配を狙うなら美浦所属の騎手騎乗馬」というデータも活用し、今回はマルターズディオサを上に取る。

とはいえ、上位5頭はそれほど差がなく、5頭のBOX馬券をおすすめとしたい。

◎マルターズディオサ
○ダノンファンタジー
▲スマイルカナ
△グランアレグリア
×リアアメリア

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
巷で噂の「ウマ娘」。実は事前登録していたのでリリース初日からログインしていますが、ほとんど育成が進んでいません。というのも、競走馬の中で最も好きな「タマモクロス」が育成可能になるのを待っているからです(サポートカードは入手済み)。毎日ログインだけして、せっせとニンジン(ガチャが引けるアイテム)をためる日々が続いています。

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