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井上尚弥を挑発するジョンリル・カシメロが注目の一戦、試合後に何を語る?

2022 11/29 06:00SPAIA編集部
ジョンリル・カシメロ,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

12月3日に韓国で赤穂亮とスーパーバンタム級10回戦

12月13日に行われるプロボクシングの世界バンタム級4団体統一戦、井上尚弥(29=大橋)対ポール・バトラー(34=イギリス)の前に、注目の一戦がある。元WBO世界バンタム級王者ジョンリエル・カシメロ(32=フィリピン)が12月3日、韓国で赤穂亮(36=横浜光)とスーパーバンタム級10回戦のリングに上がるのだ。

カシメロはWBO王者時代、盛んに井上を挑発するような発言を繰り返していたことで有名。一時は井上も自身のSNSで「売られた喧嘩は買うだけ。試合組んでください」と闘志を露わにしていた。

井上が4団体統一を達成するためにはカシメロ戦を避けて通れない状況だったが、2022年4月、カシメロがポール・バトラーとの防衛戦前にイギリスでは禁止されているサウナを減量目的で使用したとして試合中止。カシメロは2021年12月にもウイルス性胃腸炎のため試合をキャンセルするなどトラブルをたびたび起こしていたため、WBOは王座を剥奪した。

12月13日に井上が戦うバトラーは、カシメロ戦の中止を受けて急遽決まった王座決定戦に勝ってWBOバンタム級王者となった経緯がある。今となっては、井上にとってカシメロは「過去の人」だろう。4団体統一に成功すれば、ベルトを持っていないカシメロと戦う理由はない。

ただ、カシメロが3日の試合で赤穂に勝てば、井上への挑発的発言をすることは十分に考えられる。実際、赤穂戦の会見ではビデオメッセージで「赤穂に勝ったら次は井上尚弥とやりたい。いつも逃げられているから」と挑発している。

プロモーターに転身した伊藤雅雪の初興行

カシメロと赤穂の一戦が注目される理由はもうひとつ。12月3日は、引退してプロモーターに転身した元WBO世界スーパーフェザー級王者・伊藤雅雪の手掛ける初めての興行なのだ。

仁川パラダイスシティホテルで行われる興行のセミファイナルでは、かつて西岡利晃とも戦った元世界2階級王者ジョニー・ゴンサレス(41=メキシコ)が元WBOアジアパシフィック・スーパーフェザー級王者の渡邊卓也(33=DANGAN AOKI)と対戦。メインイベントとともに2試合とも世界戦ではないとはいえ、豪華な顔ぶれが揃う。

カシメロと対戦する赤穂も2度の世界挑戦経験を持ち、39勝(26KO)2敗2分の戦績を誇る実力者。カシメロを倒すことができれば再び世界戦線に浮上するだけに気合十分だろう。

カシメロが井上を挑発するという話題性を差し引いても、両者の戦いは純粋に見応えのある試合が期待できる。さらにカシメロが勝った場合、リング上で何を語るのか。これまでの経緯から考えると、井上へのメッセージを発信することは容易に想像がつく。

動画配信の浸透でボクサーの待遇改善も期待

カシメロ対赤穂戦はWOWOWオンデマンドのエキサイトマッチで12月3日にライブ配信される。最近はめっきりテレビ地上波でのボクシング中継が減り、観たい試合にお金を払うスタイルが定着しつつある。

1991年に開局したWOWOWは海外のビッグファイトを中心にボクシングを中継してきたサブスクの先駆者的存在でもある。それまでテレビ東京などが中継してきた本場ラスベガスの試合などは、押しなべてWOWOWのラインナップとなった。

さらにコロナ禍を機に動画配信が浸透。「密」を避けるため大会場に集客できず、チケット収入が減った分を補うとともに、テレビ局が体力低下しつつある状況も拍車をかけた。アメリカでは有料コンテンツに料金を支払うペイ・パー・ビュー(PPV)の収益をボクサーに分配する仕組みが確立されているが、日本でも浸透すればボクサーの待遇改善につながる期待が持てる。

しかも、12月13日の井上尚弥の4団体統一戦はdTVおよび、ひかりTVで独占配信され、PPVではなくサブスク料金で視聴可能。dTVなら月550円(税込)で、初回入会なら最長12月28日まで無料だ。世界中が注目する一戦を機に動画配信が一気に定着する可能性もある。

まずは12月3日、カシメロが勝てばリング上で何を語るか。その10日後の井上尚弥戦とともに見逃すことはできない。

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