井上尚弥の前座でジェイク・ボルネアと対戦
元WBC世界バンタム級暫定王者の井上拓真(26=大橋)が12月13日に世界前哨戦に臨む。東京・有明アリーナで行われる兄・井上尚弥(29=大橋)とポール・バトラー(34=イギリス)の世界バンタム級4団体統一戦のアンダーカードで、ジェイク・ボルネア(27=フィリピン)と55.5キロ契約10回戦。勝てば2019年11月に王座を失って以来の世界戦に大きく近付く。
ボルネアは左右にスイッチしながら手数で押すタイプだが、14勝(7KO)3敗の戦績が示す通り一発の怖さはない。バッティングに注意する必要はありそうだが、拓真がポイントアウトするのは難しくないだろう。
実はボルネアも兄弟ボクサー。双子の兄弟ジェイド・ボルネアは18戦全勝(12KO)を誇り、IBFスーパーフライ級1位の世界ランカーだ。今回は互いに強い兄弟を持つボクサー同士の一戦となる。
日本ボクシング界で兄弟世界王者となったのは井上兄弟と亀田三兄弟の2例しかないが、海外では意外に少なくない。世界的に有名なのはともに世界ヘビー級王者となったビタリとウラディミールのクリチコ兄弟だろう。兄・ビタリは引退後に政治家に転身し、現在ロシアの侵攻を受けているウクライナのキーウ市長としてたびたび取り上げられている。
ほかにもモハメド・アリを破ったレオン・スピンクスとマイク・タイソンに敗れたマイケル・スピンクスの兄弟や、日本のリングにも上がったカオサイとカオコーのギャラクシー兄弟など、話題性だけでなく実績のあるボクサーが多い。やはり、同じ環境で良きライバルとして切磋琢磨できることはお互いを高め合うのだろう。
とはいえ、兄弟ボクサー同士が戦うのは異例。「井上家」の一員として、井上拓真としてはいろいろな意味で負けるわけにはいかないのだ。