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井上拓真が追う兄・尚弥の背中、世界前哨戦で兄弟ボクサー対決

2022 11/23 06:00SPAIA編集部
井上拓真(右)と尚弥(右から3人目),Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

井上尚弥の前座でジェイク・ボルネアと対戦

元WBC世界バンタム級暫定王者の井上拓真(26=大橋)が12月13日に世界前哨戦に臨む。東京・有明アリーナで行われる兄・井上尚弥(29=大橋)とポール・バトラー(34=イギリス)の世界バンタム級4団体統一戦のアンダーカードで、ジェイク・ボルネア(27=フィリピン)と55.5キロ契約10回戦。勝てば2019年11月に王座を失って以来の世界戦に大きく近付く。

ボルネアは左右にスイッチしながら手数で押すタイプだが、14勝(7KO)3敗の戦績が示す通り一発の怖さはない。バッティングに注意する必要はありそうだが、拓真がポイントアウトするのは難しくないだろう。

実はボルネアも兄弟ボクサー。双子の兄弟ジェイド・ボルネアは18戦全勝(12KO)を誇り、IBFスーパーフライ級1位の世界ランカーだ。今回は互いに強い兄弟を持つボクサー同士の一戦となる。

日本ボクシング界で兄弟世界王者となったのは井上兄弟と亀田三兄弟の2例しかないが、海外では意外に少なくない。世界的に有名なのはともに世界ヘビー級王者となったビタリとウラディミールのクリチコ兄弟だろう。兄・ビタリは引退後に政治家に転身し、現在ロシアの侵攻を受けているウクライナのキーウ市長としてたびたび取り上げられている。

ほかにもモハメド・アリを破ったレオン・スピンクスとマイク・タイソンに敗れたマイケル・スピンクスの兄弟や、日本のリングにも上がったカオサイとカオコーのギャラクシー兄弟など、話題性だけでなく実績のあるボクサーが多い。やはり、同じ環境で良きライバルとして切磋琢磨できることはお互いを高め合うのだろう。

とはいえ、兄弟ボクサー同士が戦うのは異例。「井上家」の一員として、井上拓真としてはいろいろな意味で負けるわけにはいかないのだ。

尚弥がベルト返上すれば王座決定戦濃厚

井上拓真は兄・尚弥とともに幼い頃から父・真吾氏の指導を受け、綾瀬西高時代にインターハイで優勝。3年生として在学中に大橋ジムからプロ転向した。無傷の13連勝で迎えた2018年12月、ペッチ・CPフレッシュマート(タイ)に判定勝ちしてWBC世界バンタム級暫定王座を奪取。2019年11月に正規王者ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)に敗れて無冠となった。

2021年1月の再起戦から3連勝。1階級上げてWBOアジアパシフィックスーパーバンタム級のタイトルも奪った。戦績は16勝(3KO)1敗。好戦的な兄に比べると、やや消極的な印象もあるが、打たせずに打つスタイリッシュなスタイルは玄人好みのするテクニシャンだ。

現在、WBAバンタム2位にランクされており、1位は空位となっている。兄・尚弥はバンタム級の4団体統一に成功すれば王座返上してスーパーバンタム級に上げる可能性を示唆しており、その場合は拓真にWBAバンタム級王座決定戦のチャンスが巡ってくることが濃厚と見られる。

dTVおよび、ひかりTVで独占配信される12月13日は、パウンド・フォー・パウンド1位にもランクされた井上尚弥に全世界の注目が集まるが、弟・拓真の戦いぶりにも注目だ。

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