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井岡一翔と史上最高の大晦日決戦に挑む田中恒成はデラホーヤを超えるか

2020 12/31 11:00SPAIA編集部
田中恒成Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチいよいよゴング

2020年のボクシング界を締めくくるWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチが12月31日、大田区総合体育館で行われる。王者・井岡一翔(31=Ambition)が同級1位の田中恒成(25=畑中)を迎える注目の一戦だ。

井岡は元世界2階級制覇王者の井岡弘樹を叔父に持ち、大阪・興国高時代に高校6冠。東農大に進学して北京五輪を目指したものの出場を逃したためプロ転向した。

アマチュア時代の実績に「叔父の七光り」も加わり、デビュー前から注目されていたサラブレッドは、期待に応えて2011年2月に当時日本最速の7戦目でWBC世界ミニマム級王座を奪取。以降、ライトフライ級、フライ級、スーパーフライ級と階級を上げてベルトを巻き、日本男子選手史上初の4階級制覇を達成した。

井岡一翔は大晦日9試合目

一方の田中も実績では引けを取らない。岐阜・中京高時代に高校4冠に輝き、畑中ジムからプロデビュー。2015年5月に日本最速の5戦目でWBO世界ミニマム級王座を奪取した。

以降、ライトフライ級、フライ級のベルトも奪って、世界最速タイの12戦目で3階級制覇を達成。3度防衛後に王座返上し、スーパーフライ級に上げて4本目のベルトを狙っている。

プロボクシングではテレビの放映権料が大きな収入源になるため、高視聴率が期待できる大晦日のマッチメークが恒例となっており、2人ともたびたび年の瀬のリングに上がってきた。

井岡一翔の大晦日戦績


井岡は2011年から、引退を表明した2017年を除いて毎年大晦日に戦っている。マカオでドニー・ニエテスに敗れて4階級制覇に失敗した2018年以外は全て勝利。大晦日の戦績は7勝(5KO)1敗だ。

ついに大晦日に全国生中継される田中恒成

田中も2015年大晦日にビック・サルダールを6回で倒してミニマム級王座の初防衛に成功。翌2016年大晦日にはモイセス・フェンテスに5回TKO勝ちしてライトフライ級王座を奪取、2019年大晦日にはウラン・トロハツに3回KO勝利でフライ級王座3度目の防衛に成功し、大晦日は3戦3勝(3KO)としている。

田中恒成の大晦日戦績


ただ、井岡の試合がTBS系列で全国生中継されてきたのに対し、田中は名古屋ローカル放送が多く、同じ会場で行われた2019年でさえも井岡の試合がメインイベントで全国生中継、田中の試合はセミファイナル、いわゆる前座で全国中継されなかった。

年齢が6歳差でプロデビューも4年半遅い田中は、常に陽の当たる道を進む井岡の後を追うように戦ってきた。今回の一戦もラブコールを送り続けた田中に対し、コロナ渦で海外の試合を組みにくい状況にある井岡サイドがやむなく応じた経緯がある。田中にすれば、待ちに待った同じ舞台にようやく立てることになった訳だ。

田中恒成が勝てばデ・ラ・ホーヤの最速記録更新

井岡の通算戦績は25勝(14KO)2敗。田中は15勝(9KO)無敗。これまで4階級以上制覇したボクサーは井岡を含めて世界で22人いるが、もし田中が勝てばアメリカのスーパースター、オスカー・デ・ラ・ホーヤの24戦目を上回り、世界最速16戦目での4階級制覇となる。

前日計量は両者一発でパス。仕上がりは万全だ。数々の名勝負が繰り広げられた大晦日決戦の中でも、今回の一戦は間違いなく過去最高の大一番。井上尚弥が世界的名声を高めた日本ボクシング界の2020年を締めくくるに相応しい、見応えのあるファイトを期待したい。

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