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【Bリーグ東地区展望】上位のヘッドコーチ交代の効果は?優勝経験クラブひしめくハイレベルの戦い

2022 9/2 11:00ヨシモトカズキ
アルバルク東京の田中大貴,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

連覇を目指す宇都宮はマブンガを獲得、アジャスト次第で大きな戦力

Bリーグの2022-23シーズンは9月29日、名古屋ダイヤモンドドルフィンズvsシーホース三河の一戦で幕を開ける。

リーグが発足して以降、東地区のクラブが優勝に輝いている。今シーズンも宇都宮ブレックス、アルバルク東京、千葉ジェッツの3強が同地区に所属する。そして3クラブとも今オフは指揮官交代を断行した。

昨シーズン、2回目の優勝を果たした宇都宮は佐々宜央氏がアシスタントコーチからヘッドコーチに昇格。琉球ゴールデンキングスでのヘッドコーチ経験があることはもちろん、何より宇都宮でのアシスタントコーチ歴が長く、チームカラーを熟知している。

その宇都宮は連覇を目指すシーズンとなるが、リーグ屈指のオールラウンダーである#32ジュリアン・マブンガを獲得した。単純な戦力の足し引きで考えれば大きなプラスになるが、元々マブンガはボールを長く持ってこそ生きるタイプの選手。京都ハンナリーズに在籍していた2019−20シーズンに19.4得点、8.7アシストと驚異の数字を残せたのは、マブンガが“ポイントフォワード”として、多くの時間ボールを持っていたからである。

宇都宮のポイントフォワードといえば、現在A東京に所属するライアン・ロシターが長らくその役割を務めた。しかし皮肉にもロシターが移籍した昨シーズン、宇都宮は優勝しており、そうした背景を考えればマブンガの獲得には疑問符が付く。

選手としての万能性は脅威であるものの、宇都宮には#6比江島慎や#18鵤誠司など能力の高い日本人選手は揃っており、時にはマブンガがロールプレイヤーの役割を受け入れなければいけないだろう。

日本に来て7シーズン、常にエースとしてプレーしてきた彼にとっては難しい作業かもしれないが、マブンガの役割変更が成功すれば連覇に向けた大きな戦力になるだろう。

千葉JとA東京も指揮官が変わり王者に返り咲けるか?

千葉Jはチームの礎を築いた大野篤史ヘッドコーチが三遠ネオフェニックスに移籍。かつてトヨタ自動車アルバルク(現在のA東京)を率いたジョン・パトリック氏が就任した。

主力に大きな変化はなく、昨シーズン課題だったハーフコートオフェンスをパトリックヘッドコーチの手腕で改善できるか注目だ。大きな戦力補強はないとはいえ、#9二上燿、#13大倉颯太らポテンシャルの高い若手が在籍し、彼らの成長で戦力の上積みが期待できる。

またA東京も元リトアニア代表を率いたデイニアス・アドマイティス氏が就任する。母国やポーランドなどで実績がある指揮官で、タレント揃いのチームをどう率いるか。千葉J同様、こちらも主軸の多くは残留し昨シーズンと同等レベルの戦力を誇る。

終盤、#22ライアン・ロシターなど外国籍選手にケガが頻発したことを考えれば、彼らが健康体なだけで戦力はアップしたと言えるだろう。ケガの穴埋めをした#8吉井裕鷹の成長も著しく、ガードの#1ジャスティン・コブスも獲得したことで、エース#24田中大貴の負担も軽減できそうだ。

ヘッドコーチの交代で言えば、群馬クレインサンダーズも水野宏太ヘッドコーチが就任している。水野ヘッドコーチはレバンガ北海道時に実績を残しており、戦力的にも#16並里成を獲得し、主力が多く残る。ディフェンスの課題を克服し、上位に食い込みたい。

台風の目は秋田と茨城、オフェンスの厚みで強豪に挑む

これらの強豪の中、上位に入りチャンピオンシップ(CS)に進むのは至難の業だが、それでも昨シーズンは秋田ノーザンハピネッツがCSに初出場した。

秋田の特徴は何と言ってもディフェンス力。リーグ4位の75.7失点で、オフェンスでも組織力の高さが垣間見える。チームバスケットを体現し、クラブの歴史に新しいページを加えた。しかし外国籍選手も含め、いい意味で“自分本位”の選手がおらず、得点力不足は大きな課題だ。終盤に誰にボールを渡すのかが定まっておらず、接戦で試合を落とすこともあった。

それでも今シーズンは外国籍選手を総入れ替えし、攻守で能力の高い選手を獲得。幸先の良いスタートを切ったかに思えたが、契約条項に違反する事項がありアミダ・ブライマーとの契約を解除。早急に代わりの外国籍選手を探さなければならない事態になった。

また茨城ロボッツも戦力補強に成功した。昨シーズン初めてB1を戦い、16勝と洗礼を浴びる形になったが、日本人のガード陣がある程度通用したこともあり、その他のポジションを補強。レバンガ北海道で日本人の得点源を担った#17山口颯斗、機動力のある#33林翔太郎、そしてクレバーなプレーが光る#24鍵冨太雅を加えた。いずれの選手もウイングとしてはサイズがあり、ミスマッチを生みにくい布陣になりそうだ。

さらには#1トーマス・ケネディ、#5LJ・ピークと得点力が自慢の帰化選手と外国籍選手を獲得。ゴール下の弱さが気がかりではあるが、外からプレーができる選手を揃え、機動力で勝負する。

先述したように3地区の中で最もCS出場が困難でチャンスが限られている。昨シーズンの成績と今オフの移籍を考えても、これまで挙げた6クラブで数少ない椅子を争うことになるだろう。

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