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【奪三振率から見るセンバツ注目投手】クラーク国際・辻田が12.82でトップ 大島・大野は98奪三振

2022 3/12 11:00林龍也
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奪三振率トップはクラーク国際の辻田旭輝

3月18日に開幕する第94回選抜高等学校野球大会。昨秋の激闘を経て、今年も多くの好投手が聖地の土を踏む。夏よりも投手力の要素が勝負を左右することが多い春。今回は投手の能力を測る上で最も分かりやすい「奪三振率」に着目し、注目投手を探っていこう。

対象となるのは「2021年秋の公式戦でチーム試合数×2回以上を投げた投手」だ。この条件に当てはまるのは32校の43人。うち11校で2人が該当し、21校が1人。0人、3人というチームはなかった。

また公立は10校で12人なのに対し、私立は22校で31人。さらに右腕が30人、左腕が13人となっている。この辺りのバランスは第93回大会と大きな違いはなかった。公・私×左・右の人数は下記のとおり。

2022センバツ出場校 左右投手人数


今回のテーマである「奪三振率」で43人中トップの12.82をマークしたのは、クラーク国際の辻田旭輝だった。6試合33回を投げて47奪三振、被安打23、四死球も11と少なく、防御率1.09と安定した投球を見せた。昨秋は背番号3ながら北海道大会準決勝、決勝、神宮大会1回戦と先発を任されるまでに成長。最速148キロを誇り、選抜での150キロ到達も充分考えられる。

2022センバツ投手 奪三振率ランキング


エースナンバーを背負っていた山中麒翔も、技巧派左腕として二枚看板を形成。7試合36回を投げて奪三振率8.25は辻田に及ばないものの、防御率1.00は辻田を上回る。神宮大会の再戦となる九州国際大付戦では、2人の成長が試される一戦となる。

奪三振率で辻田に続いたのが、京都国際の注目左腕・森下瑠大だ。7試合42.2回を投げて52奪三振、奪三振率は10.97をマーク。さらに被安打33、四死球14で防御率1.48と総合力の高さを示した。1年秋からエースナンバーを背負い、2年春、2年夏と甲子園に出場。夏には4強進出の立役者となった森下が、最終学年でどんな投球を見せるか注目だ。

奪三振率3位の10.08をマークしたのは、星稜の2年生右腕・武内涼太だ。10試合中7試合に登板し、25回で28奪三振。被安打も17と少ないが、四死球は26を数えた。一冬を越えてフォームの安定感を取り戻すことができれば、飛躍が期待できそうな投手だ。

市和歌山・米田は”先輩”小園に匹敵する成績

奪三振"数"でトップだったのは、大島の左腕・大野稼頭央だ。89回を投げ98奪三振、奪三振率も9.91で上位にランクインした。昨秋は九州大会準々決勝までの9試合で完投、投球回も2位と大差をつけてトップだった。防御率も1.21と安定しており、まさに大黒柱と言える働きでチームを8年ぶりの選抜へと導いた。

大野に続くのが、79奪三振の米田天翼(市和歌山)、76奪三振の古川温生(金光大阪)だ。米田は10試合71回を投げて奪三振率10.01をマーク。防御率も1.90と安定しており、昨年のエース・小園健太(現DeNA)に匹敵する成績を残した。古川も10試合72回を投げて奪三振率9.50、防御率2.50をマークし、13年ぶりの選抜出場に大きく貢献した。

ここまでに名前は挙がらなかったものの、他にも好投手は多い。

大阪桐蔭の注目左腕・前田悠伍は、11試合57.2回を投げて51奪三振。奪三振率7.96は特筆すべき数字ではないものの、防御率0.78は43人中2位、被安打率(9回あたりに打たれる安打数)4.84はトップだった。三振だけに頼らず打たせて取る投球をしながらも、被安打、四死球は少ない。2年生ながらトップクラスの実力を誇る。

また、鳴門の冨田遼弥や大垣日大の山田渓太、九州国際大付の野田海人、大阪桐蔭の川原嗣貴も奪三振率9.00を上回っている。野田は「野田キャノン」とも称される強肩を武器とする正捕手でもあり、選抜でも投手・捕手での活躍に注目だ。

低奪三振率ながら好投を見せたのが、明秀日立を関東大会王者に導いた猪俣駿太だ。9試合69.2回を投げて33奪三振、奪三振率4.26。被安打も最多タイの66本を数えたが、防御率2.45と失点は少なかった。

今大会は花巻東の佐々木麟太郎、九州国際大付の佐倉侠史朗、広陵の真鍋慧と言った2年生スラッガーに注目が集まるが、楽しみな投手も非常に多い。彼らを抑え込み、その名を轟かせる投手が現れることを期待したい。

※学年は新年度

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