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高橋尚子が大阪国際女子マラソンを展望「松田選手が中心、佐藤選手は30キロ以降の走りに注目」

2022 1/29 18:00SPAIA編集部
高橋尚子,Ⓒカンテレ
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Ⓒカンテレ

解説務める高橋尚子がレース展開を予想

第41回大阪国際女子マラソン(12時からカンテレ・フジテレビ系で全国生中継)が、明日30日に開催される。

注目は7月に米オレゴン州で行われる世界選手権の日本代表候補争い。世界選手権派遣設定記録の2時間23分18秒を突破した日本人1位と2位が代表候補となる。また、2023年秋に行われるパリ五輪代表選考会(MGC)の出場権もかかっている。今年も解説を担当する高橋尚子氏(シドニー五輪女子マラソン金メダリスト)が見どころを語った。

「まずは、東京オリンピック、パラリンピックが終わったということで、パリ五輪への第一歩になる大会なのかなと思います。また去年、東京五輪も含めて若い選手たちが活躍をしたことで陸上界も大きく動いてきたと思うんです。特にトラックで、1500 メートル、5000 メートル、1 万メートルと活躍して日本記録を出した選手もたくさんいて、でもやっぱりマラソンだけはまだ止まっている。だからこそ、“動かしてやるんだ”という陸上界の動きをすごく感じる。大阪を皮切りに、新しい変革を起こす瞬間になるのかな」と今大会に期待を寄せた。

注目選手は松田瑞生(ダイハツ)と佐藤早也伽(積水化学)。この2人を中心としたレース展開が予想されるが、ペースメーカーの存在もカギとなる。

高橋は「ペースメーカーが3つ想定されるということもあって、第一ペースメーカーにつく可能性が高い松田瑞生選手を中心としたレースになってくるのではないかと思います。そして、第二(集団)から始まっていくと予想される佐藤早也伽選手が、30キロ以降に(ペースを)上げてどれだけこのレースに関わってこられるのか、そして展開を面白くしてくれるのかということには注目しています」と予想した。

両選手の調子についても「いいんじゃないですか。特に松田選手は悲しい思い、苦しい思いをここ数年たくさんしてきたと思うんですね。選ばれなくて悔しい思いをする、でも“今度こそ自分だ”っていう思いは一番強いと思うので。“松田旋風を巻き起こす”をテーマにしていますけど、そのバックグラウンドを見ても練習量を今までで一番増やしたり、過去の自分と比べて毎日一つずつ進歩をするような形で積み重ねている姿というのも、すごく大きいのかなと思います」

「佐藤選手は、すごくほんわかとした雰囲気なんですが、走り始めると負けず嫌いで頑固で、すごく頼もしい存在に変化するっていうギャップが強さなのかな。そういう選手はオンとオフの切り替えがすごく優れていると思います。彼女も初マラソンから2時間23分台と実力を見せつけた選手でもありますから、今回新しい引き出しを彼女が開けた時にどういう姿を見せてくれるのか、すごい楽しみにしたいなと思います」とそれぞれの印象を語った。

特に、今回が3度目のフルマラソンとなる佐藤について「タイムがどこまで伸びるかというと、2時間20分とか21分という所まで、第二(集団)から上げて行くのは難しいのかもしれないですけど、こういった試合でやってみて初めて引き出しとなって糧になってくる」と分析。

「私自身もオリンピックに出るまでに、最初はラスト10キロで(ペースを)上げるようなレース、次はアジア大会でスタートから上げて行くレース、最後オリンピック決める時はラスト20キロハーフを超えてポンと上げるレース。そういうレースをしておくことで、自分が何が一番得意で、どんなレース展開をすれば自分のレースに引き込めるか?というものを最初に想定することができる。自分を知ることができると思うので、彼女が自分の引き出しを見つける瞬間っていうのはすごく楽しみにしたいと思います」と、自身の経験に重ね合わせてエールを送った。

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